回顧2017年 上越タウンジャーナル記者トーク (1)

2017年も残り少なくなりました。今年も「上越タウンジャーナル」をご愛読いただき、どうもありがとうございました。今年1年間、新潟県上越地域で起きたいろいろなニュースを振り返り、エピソードを交えながらトークを繰り広げます。今日はその第1回です。

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次第に疲弊していく上越経済

川村 今年の上越地域経済の動向を見ると、全国の地方都市と同様に、相変わらず大手チェーンが進出し、地元企業や店が閉店していくという動きが続いている。良く聞く話だが、スーパーチェーンのウォルマートが進出すると、辺り一帯の顧客を根こそぎ奪っていく。商品の仕入れもなく、地域を次第に疲弊させるという。大手チェーンの売上はその日のうちに本社に送金され、地元にほとんど還元されない。中央(東京)は景気が良くても、地方には恩恵が及ばないのはこのためだ。

県内で最も多い1568台のパチンコやスロットが並ぶメガガイアの店内
メガガイアパチンコR

江口 パチンコでは地元の三井企画が展開していた2店が閉店し、跡地に巨大なメガガイア上越店ができた。上越だけの傾向ではないが、業界1位のマルハン、2位のダイナム、3位のガイアに独占され、地元パチンコ店は淘汰されつつある。

川村 パチンコは20年ほど前まで「30兆円産業」と言われていたが、もうすぐ20兆円を割り込みそうだ。パチンコ人口もピークには3000万人いたが、昨年は1000万人を割った。今後はパチンコ、パチスロ離れが進み、さらに業界再編が進むのではないか。

江口 妙高市の中心市街地にあるスーパーサンライズが8月に閉店した。上越市では原信西城店が閉店し、上越市の市街地からスーパーの撤退が続いている。年配の人からは「御用聞きや物売りがいた昔の方が便利だった」という声も聞かれる。

川村 地元で頑張っているのは、JAとイチコかな。JAでは昨年7月にオープンした「あるるんの杜」が人気で、少し離れていて不便だった直売所の「あるるん畑」がその隣に移転して来春にオープンする。観光バスも立ち寄れる人気スポットとして躍進を期待したい。地元スーパーのイチコも来春に五智店を出店するし、頑張ってほしい。拡張が決まった「道の駅あらい」も楽しみだ。

江口 書店も動きが激しかった。大型複合書店「蔦屋書店高田西店」ができて、にぎわっている。一方……。

川村 上越初の大型郊外書店だった「ブックコスモス」が8月で店頭での書籍販売を終了した。10月には妙高市の老舗「文栄堂」が自己破産申請した。昨年は「ブックマートかきむら」が閉店するなど、“町の本屋さん”は依然として厳しさが続く。人口減少などの要因もあるが、本をまったく読まない人が増えている。

江口 飲食店ではどうだろう。4月の「無添くら寿司」と「らぁ麺 武者気」、7月の「タリーズコーヒー」、来年には「いきなり!ステーキ」など、チェーン店の進出が続いている。

川村 地元の老舗や人気店では、1月に「やぶ食堂」、2月に「麺処 暁」が閉店し、大晦日には「バラパン西本町店」が惜しまれながら閉店する。他に頑張っているのは上越妙高駅のコンテナ型商業施設「フルサット」。昨年のオープン以来、拡張を続け、8月にプリン専門店、10月には洋食店がオープンし、計8店となった。

郊外におしゃれなカフェが続々開店

江口 新しい出店傾向はあるだろうか。

地場野菜や旬の素材を使ったランチや手作りケーキが人気。三和区にオープンしたアンスリール
アンスリール

川村 郊外を中心におしゃれなカフェが次々とできた。妙高市大鹿には「ミナヅキ」、頸城区にはイートインベーカリー「ごぱん屋カフェ Come & Co.」、三和区にはわずか6席のカフェ「アンスリール」、大島区には週末限定の古民家カフェ「iidatei cafe(いいだていかふぇ)」ができた。一方、市街地では古民家を利用したカフェ「町家Cafe Re:イエ」(東本町1)がオープンした。いずれも手作りの料理やパンなどがおいしく、人気を集めている。特徴的なのは女性客が圧倒的だということかな。少し遠い場所でも、ゆっくり、おしゃべりしながらランチを食べられるのがいいらしい。料理は健康志向で、デザートに力を入れているのが特長だ。

江口 12月にオープンしたロッテアライリゾートだが、四季を通じて営業するので、ホテルとしてみても巨大だ。

川村 257室もあるしね。それから上越妙高駅東口にアパホテルが建設中、西口では東横インが来年着工予定で、両ホテルを合わせると300室を超える。上越市内のビジネスホテルの部屋数は1100室ほどなので、今後は影響を受けるだろう。

人口減少社会の影響も

江口 11月の妙高自動車学校の閉校も、人口減少社会を象徴している。

川村 例えば上越市の人口推移をみると、1日に5人弱が減っている計算になる(2013~2015年人口動態)。ものすごいスピードだ。このままでは2040年に上越市の人口が15万人を割るという(日本創生会議の増田レポート)。なかでも若年女性の数が4割も減るというから、結婚産業や、女性向けの飲食店、ブティック、化粧品、エステ、美容院などは影響が出てくるだろう。

第2回につづく)