回顧2012 上越タウンジャーナル記者トーク(2)

上越タウンジャーナルの記者2人が、この1年のいろいろなニュースを振り返り、エピソードを交えながらトークを繰り広げる記者トークの第2回です(第1回はこちら)。

写真はイメージです
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江口 経済関係では年明け早々、パナソニック新井工場と、有沢製作所で希望退職者の募集があるなど、半導体などは一段と厳しくなった。中心商店街の冷え込みは高田、直江津ともいっそう厳しく、老舗の閉店が目立った。

川村 高田で一番古い喫茶店、志留美亜(シルビア)が1月に閉店し、140年の歴史を持つ玉川書店が3月に閉店した。直江津では「奥の細道」で松尾芭蕉が泊まった300年という長い歴史を持つ古川屋旅館が1月末で旅館を閉めた。残念なことだったけれど、いずれも上越タウンジャーナルの特ダネとなった。
 また閉店といえば、レコード店の老舗、多田金が1店だけ残ったパティオ店を閉め、本町6の本店で在庫を持たない受注販売に移行した。某新聞社がこれを「多田金が閉店」と書いたものだから、常連さんは随分心配したらしいね。その記事を見て、「受注販売なら、アマゾンの方が便利じゃないの」と思った人も多く、誤解させたのはまずいと思う。記事は某新聞社より遅れたが、きちんと書いて喜ばれた

江口 「上越・妙高のローソン3店舗が突如休業の怪」の記事が、上半期の記事ランキング4位になったけど、これは随分話題になった。

川村 たまたま立ち寄ったローソンの妙高柳井田店が閉まっていたものだから、追跡取材したわけ。ローソンの新潟本部に電話しても「諸事情で」としか言わないし、取材は困難を極めたね。石橋1丁目店も、オープンしたばかりの昭和町店も同時に閉店したことが分かり、「これは何かある」と。いろいろな人に聞き、丸1日かけて、ようやく全貌が分かったわけ。でも「諸事情」をオープンにするより「突如休業の怪」として、謎が謎を呼ぶようにした方が面白いと思った。

江口 経営者が刑事事件の被疑者として県警に逮捕されたというのが真相だった。なぜそれを書かないのかという指摘も受けたが、ローソン側は取材に対して刑事事件と閉店の因果関係を認めなかったし、経営者が刑事事件の被疑者となっても店の営業継続は可能なことなどいろいろ議論した結果、「突如休業の怪」ということになった。このときのローソンの休業は、普通の新聞の記事としては取り上げづらいネタだけど、コンビニは生活への関わりが深く、多くの人が不思議に思っていたので、記事として取り上げた。こういう普通の新聞が取り上げづらいネタをやれるのも上越タウンジャーナルの特徴だと思う。

川村 反対に、新しくオープンするニュースでは、MEGAドン・キホーテ進出の記事が一番読まれた。ほかに、ホームセンタームサシの西田中出店ケーズデンキの富岡出店など、大型店の進出の記事は、ほかのマスコミより先行して出すことができたので、喜ばれたと思う。今年はバローの2店目が下門前にオープンしたし、大型店の出店ラッシュとなった。人口が減り、購買力が低下する中、客は価格の安い大型店に流れ、地元店はますます衰退する構図だ。

江口 本町4の大和上越店跡地に平屋の商業施設の建設が始まり、本町5の16階建ての再開発ビルとともに来春オープンする。二つの建物合計で少なくとも28億円の税金が投入されることになる。先日オープンした富岡のMEGAドン・キホーテには平日、休日問わず駐車場にはびっしりと車が停まっている。こういうのを見ると、中心市街地活性化ってどういう意味があるのかと考えてしまう。

川村 次は食べ物の話。上越の人は麺類が大好きでね、記事を書けばページビューがぐんと伸びる。一番おもしろかったのは、つかそばかな。第1弾は、谷村新司がラジオ番組「純喫茶・谷村新司」でつかそばを絶賛していたこと。つかそばは20年ほど前は直江津駅前にあり、谷村さんはそこで食べたらしい。そして第2弾は野田首相が衆院選の応援に来て、昼食につかそばに立ち寄り、「天玉中か」を食べたことだね。

江口 今回の衆院選では当時の野田首相も来たし、首相になった安倍さんも上越入りした。野田さんがつかそばに行ったのだから、安倍さんも待夢里(石橋1)でカツカレー食べてほしかったなあ(笑)。

川村 つかそばの「かけ中か」は、そばつゆにラーメンを入れたものだが、豚汁にラーメンを入れたのが「とん汁ラーメン」。「かけ中か」も「とん汁ラーメン」も、どこにもありそうでどこにもない上越特有である点が面白い。「とん汁のたちばな」のとん汁ラーメンが、エースコックからカップ麺として全国発売されたが、今度は「かけ中か」を商品化してもらいたいものだ。

江口 麺類では、「みはらし亭」の100円のラーメンは話題を呼んだ。6月はサラダラーメン、12月には醤油とみそラーメンを100円で提供した。こんな低価格でも赤字ではないというから感心した。10月には麺屋あごすけのつけ麺が全国3位になったニュースがあったし、12月には新光園の「石焼地獄ラーメン」が出た。ラーメン翔の50丁目まである激辛ラーメンも話題を呼んだし、アイデアを出して頑張れば地元店も大手チェーンに十分対抗してやれるということかな。

川村 次はパンだが、このところダジャレの商品名を付けたパンが次々と出ている。上越地域の人はすごくまじめで、ダジャレで商品名を付けるという発想はこれまでなかったはず。それが、今年はダジャレパンが続出という現象は実に興味深い。高田農業高校生徒の「山カフェ」は、「いモンブラン」を販売したし、高田農業の商業クラブでは「カメロンパン」を考案した。町のパン屋さんも負けじと、フォンドールは「フランク長井」や「宇宙船艦トマト」を出し、プティは釜蓋遺跡をイメージし、釜の蓋をかぶった豚をかたどった「かまブタくん」を発売した。全部食べてみたが、味も抜群で、キワモノ商品ではないのがうれしい。来年はどんなパンが生まれるか楽しみだ。

(3回目に続く)

◇回顧2012上越タウンジャーナル記者トーク(1)
https://www.joetsutj.com/articles/52009935