多田金パティオ店が11月閉店 受注販売へ移行

レコード、CDなどの販売で100年以上の歴史を持つ新潟県上越市の「多田金」は、店舗として唯一残っている富岡のパティオ店を2012年11月21日で閉め、12月1日からはライブハウスとして使用している旧本店「G&MCP」を改装し、在庫を持たない受注販売に切り替える。県内で唯一残っていたレコード専門のリアル店舗が姿を消すことになった。

11月で閉店する富岡の多田金パティオ店
多田金

多田金は1855年(安政2年)に初代の多田金十郎が本町6に、西洋小間物、煙草、売薬などの店として創業。米コロムビアが設立された1910年に、国内で最初にレコードを取り扱った店の一つ。県内でも初だった。戦後にレコードの専門店になり、1949年に法人化した。

上越ウィングマーケットがオープンした1994年4月にパティオ店を出店。本店、直江津店、上田店、柏崎店を合わせて5店を展開し、ピークの96年には年売上が4億5000万円に上った。しかし、2000年ごろからネット配信の影響が出始め、売上が毎年のように減少した。2006年9月には本店を閉め、パティオ店だけの営業となっていたが、売上の減少傾向に歯止めはかからなかった。

同店が作る「音楽友の会」には、ジャズ、クラシック、民謡、カラオケなどを愛好する約3300人の会員がおり、メールマガジンで情報発信をし、新年会や花見などを通じて交流を深めている。会員は多田新社長の音楽知識やアドバイスを得ながらCDなどを注文する人が多く、「在庫以外で、毎月1200~1400枚の注文がある。在庫がなくても、どんなCDが欲しいかニーズを聞き出し、フェイス・トゥー・フェイスで販売していけるのではないか」と話す。

閉店に向けてCDの在庫をチェックする多田社長
多田社長

パティオ店の閉店に伴い、8月1日から在庫処分セールを開始し、10月1日から11月21日まで段階的に30~90%引きの売り尽くしセールを行う。移転作業の後、12月1日から本店での受注販売に切り替える。インディーズから輸入盤まで49のメーカーと直接契約しており、注文すると翌日には入荷するという。同店にはマニア垂涎のスピーカーの名器JBL4343や、アキュフェーズのアンプなどがあり、買ったCDなどはその場でかけて聞くことができる。

本店(上越市本町6-1-18)の営業時間は午前11時~午後8時、日曜定休の予定。

◇多田金のホームページ
http://w1.avis.ne.jp/~tadakin/