回顧2019年 上越タウンジャーナル記者トーク(3)

今年1年を振り返る記者トークの前日からの続きです。(記事中で色の変わった文字をクリックすると、その記事が別ウインドウで開きます)

市街地にクマやイノシシ

記者B 今年はイノシシが五智公園などで芝生を掘り起こしたり、有田地区を駆け回ったり、また、高田の市街地にクマも出た。

記者A 5月9日朝、西城町3の住宅の敷地内にクマが逃げ込んだのには驚いた。実は麻酔銃が上越地域になく、隣の長野県の茶臼山動物園から麻酔銃を持った獣医師を招いたため、結局捕獲に夕方までかかった。

記者C 10月にはイノシシが直江津や有田地区の市街地に出た。住宅街を駆け回り、幼稚園の敷地にも侵入して警察や市、猟友会が追跡し大捕物だった。

イノシシが有田地区の市街地を逃げ回った(2019年10月18日) イノシシ

記者A 現場に駆け付けたら、教育プラザのグラウンドの隅で警察や市の職員などがイノシシを取り囲んでいたので、これで御用だと思ったら、包囲をすり抜けて住宅街に逃げた。そこから、関係機関の職員とともにわれわれ報道陣もイノシシを追って走りに走った。イノシシは足は速いし、関川を軽々と泳いで渡る。野生動物は身体能力が高くて生身の人間では対応が難しいということをあらためて実感した。

記者C 五智公園のほかにも、柿崎総合運動公園も被害に遭い、たにはま公園では電気柵を設置して対策した。農作物の被害に加え、人里まで出てくる原因は何なんだろうか。ここ数年の少雪などが影響しているのだろうか。来年はその辺も取材してみたい。

増える危険な空き家

記者B 11月、上越市で初めて空き家対策特別措置法の略式代執行による取り壊しが実施された。倒壊など周囲に危険がおよぶ可能性が高い空き家を行政が取り壊す手続きだ。

略式代執行が行われた南本町1の空き家(2019年11月5日) 空き家2

記者C 空き家といえば中山間地をイメージしていたが、上越市の代執行第一号は高田の市街地、南本町1の上越大通り沿いだったのでちょっと意外に感じた。

記者B 中山間地はもちろん人口が減っているが、市街地はそれなりに人がいた分、減少量は著しい。今回の空き家は、庭や蔵もある昔ながらの立派な家だったが、2年半前に住んでいた男性が亡くなり、親族などの関係者が分からないという状態だった。

記者A 同様に周囲に影響を及ぼす危険のある特定空き家は市内にあと300軒もあるというから、今後の対応も大変だ。人口減少とはこういうことが身近に次々と起きるということなのだろう。

トキ鉄の経営に新風

記者A 9月にえちごトキめき鉄道の2代目社長として千葉県のいすみ鉄道元社長の鳥塚亮氏(59)が就任した。アイデアマンとして知られ、就任後、夜行列車やSLの汽笛の復活など次々と企画を打ち出している。

就任会見する鳥塚亮社長(2019年9月9日) etx1

記者B ブログはもちろん、Yahoo!ニュース「個人」執筆者でもあり、発信力は抜群だ。社員の方には申し訳ないが、プレスリリースよりも社長ブログの方が情報が早い上に、企画の意図や説明も分かりやすく取材する身としては大変助かる。

記者C 人柄も気さくで、リゾート列車「雪月花」の乗客2万人達成セレモニーでは、短い停車時間でも率先して乗客のスマートフォンで写真を撮ってあげていた。直江津駅に汽笛を取り付けた時の取材では、鳥塚社長にアポは取ってなかったが、会議を早めに切り上げて駆け付けてくれた。

記者A イベントや企画だけで、三セク鉄道の構造的な赤字体質が劇的に改善するわけではないが、移動手段だけではないトキ鉄の魅力を発掘する鳥塚社長の取り組みは、市民の共感を得ていくと思う。次はどんな企画が飛び出すのか楽しみだ。

武道館に体操場、そして野球場

記者B 12月に県立「謙信公武道館」がオープン、大潟区の市立上越体操場「ジムリーナ」も完成し、来年1月26日にオープンする。謙信公武道館は北信越最大規模、ジムリーナにはオリンピックや世界選手権で使用される体操器具が設置される。

来年1月26日にオープンする上越体操場「ジムリーナ」 ジムリーナ体操場

記者A 武道館には、最新機器をそろえたトレーニングルームと1周200mのランニングコース、シャワーもあり、開館から1か月経たないがランニングコースが人気だそうだ。天候に関係なく利用できることから、武道にかかわらない一般市民にも利用が広がりそうだ。

記者C ところで、国道18号バイパスを通行する車からは、謙信公武道館が何の施設かわかりにくい。屋根に大きく「謙信公武道館」と書いてPRしたらどうか。

記者B 11月には上越市内の野球団体が3万人分の署名を集めて新野球場の建設を市長に要望。市教育委員会が事業の実現性の調査を行っている。

記者C 県立の武道館に市立の体操場、そして市立の野球場。人口が減って特に若者の比率が小さくなっていく今後を考えると、この種の施設がどこまで必要なのかよく考える必要がある。

当事者としての市民

記者A 新野球場もそうだが、市が行う箱物建設や政策については、さまざまな異論や批判があるのは当然で、記事を出すたびにSNSにコメントが付く。

記者B 結局のところ、自分たちが住む地域をどうするのかということは、役所や政治家任せではなく自ら考え、コミットしていくしかないだろう。

記者C そういう意味では「上越若者みらい会議」や「上越アクティブスポーツ協会」、上野支配人の高田世界館ボードゲームフェスなど実際に具体的にそれぞれの目標に向かって動いている比較的若い人たちの取り組みには希望が持てる気がする。

記者B このほかにも、いろいろな人がいろいろなところで動いていて、まだまだ捨てたものじゃない。厳しい時代が到来しているが、来年も前を向いて現実に立ち向かおう。

記者A それでは今年の対談はこれくらいで。良いお年を。

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