回顧2018年 上越タウンジャーナル記者トーク(2)

今年1年を振り返る記者トークの前日からの続きです。(記事中で色の変わった文字をクリックすると、その記事が別ウインドウで開きます)

ヨーカドー直江津店撤退関連

記者A 今年の上越経済を振り返ってみると、一番ショッキングなニュースは、イトーヨーカドー直江津店の来年5月での閉店だろう。1か月近くかけて水面下で関係者への取材を進め、同業他社に先駆けて11月11日に記事を出すことができた。翌12日は新聞休刊日だったので、他社より2日早く出せたことになる。意図的に休刊日にぶつけたわけではないが。

イトーヨーカドー直江津店
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記者B イトーヨーカドーを核店舗として、オープン時には地元テナント65店舗(開店時)が参加した地域主導型ショッピングセンターであり、直江津地区商業地の中心として30年以上も共に歩んできたので、地元のショックは大きかった。

記者C この30年間に直江津に限らず市街地の人口は大きく減っているし、どこもそうだが単身や2人暮らしの高齢者が多くなった。食品スーパーでは客単価が低くなりすぎて店舗を維持できないという話も聞く。高田地区の再開発ビル「あすとぴあ高田」1階から生鮮スーパーが撤退したのも客単価の低さが一因だった。

記者A 今後ヨーカドーの後継テナントを誘致するといっても、半分以上を占める7000平方mもの売り場を1社だけで埋めるのは困難だろう。撤退を予見していたように、すぐ近くにイチコ直江津西店もできたしね。ヨーカドーの跡がそうなるというわけではないが、全国の再開発ビルなどでは核店舗の撤退後に後継テナントが入ることなく、空床のまま何年も経過している例も多い。

記者C 建物を所有する会社が全力で誘致に取り組んでいるのは分かるが、そう簡単にはいかないだろう。最終的には行政や地元経済界を含めた支援が必要になるのかもしれない。

キャッシュレス化

記者C 年末に記事を出した「スタンプ」や「あらいカード」の終了も同様だ。もう顧客を囲い込む時代は終わり、クレジットカードやスマホ決済などを導入しないと、そもそも全国チェーンと同じスタート位置に立てない時代なのだと思う。キャッシュレス決済が2025年に政府目標の4割に増加したら、導入できない店舗は客の多くを失うことになる。

記者B 9月に新潟県内で初めて頸城ハイヤーがQRコード決済を導入したね。12月からは、上越―新潟間高速バスで「Suica」など交通系ICカードが利用可能になった。その後、PayPayの100億円キャンペーンでQRコード決済が注目され、上越でも大手電器店のほか、「クスリのアオキ」で酒類を大量に買ったり、「ファミリーマート」でたばこをまとめ買いする人がいた。スマートフォンのような新商品や新しいサービスは、普及率16%の壁を超えると急速に普及ともいわれているが、都会ではともかく、上越で財布を持たずに外出できるようになるには、まだまだかかりそうだけれど。

頸城ハイヤーが楽天Payを導入
QRコード決済

記者C スウェーデンでは「スウィッシュ」というスマホ決済が普及し、現金決済はわずか2%だという。財布を持たない人が増えたので、物乞いの人が困っているらしい。コンビニが現金を扱わないため、強盗がなにも盗らないで帰ったという笑い話がある。

記者A 7月、セブンイレブン上越東城店に強盗が入り、現金が奪われる事件があったけれど、キャッシュレス化はまず、コンビニから普及してくる。コンビニ強盗もそのうちに昔話になるだろう。

記者C 消費増税と東京五輪を契機に、日本もこれから急速にキャッシュレス化が進むと思う。20年後には、今の公衆電話と同じで、ATMをほとんど見かけなくなるのではないか。

記者A 11月に、ホテルで女性にニセ札を渡し、上越市の男性が逮捕される事件があったが、これから場合により、「現金お断り」もあり得る。外国人が大勢国内に入ってきているので、日本のお札の真偽が分からないからだ。

書店の動向

記者B ほかに“一つの時代が終わった”と感じたのは、北城町3の「ブックコスモス」の閉店。上越初の大型郊外型書店で、夜遅くまでにぎわったのが懐かしい。

記者A 一昨年はブックマート柿村が閉店、昨年は妙高市の文栄堂が自己破産、そして今年はブックコスモスだ。今は大手でも厳しい時代。先日、東京・六本木で入場料1,620円(税込み)を取る書店に入ってみたが、人口が少ない上越では無理だと思った。打つ手がないのが実情だ。

高齢化

高齢者は階段が苦手
ラヴェンナの階段

記者B 先ほど、顧客の高齢化の話が出たが、高田の本町商店街で30年以上も営業していたレストラン「ラヴェンナ」が、12月20日で閉店した。閉店理由はいくつかあるが、その一つは店舗が「2階」だったこと。顧客が高齢化して階段を昇るのが苦痛になり、遠ざかってしまった。

記者A そう言えば、近くの「Go's cafe」(8月閉店)、「カントニーズレストランBON」(10月閉店)も2階だった。「十分な駐車場がなく、2階」という立地条件は、上越ではビジネスが成り立たない。

記者C 高齢者が多くなるというのはビジネスへの影響が大きい。立体駐車場は敬遠されるし、平面駐車場だってゆとりが必要だ。「大盛り無料」のサービスよりも、「小盛り」価格を設定する方が大事だと思う。「小盛り」を導入し、高齢者に好評だという店がある。「食べ放題、飲み放題」のビジネスモデルが喜ばれない時代となった。

記者A 高齢者による自動車の事故もあった。1月に「バロー上越モール」の駐車場で、80代男性の運転する軽自動車が車2台などにぶつかった後、店舗入り口近くのガラスに衝突した。昨年にもあるるん畑に70代女性の運転する軽自動車が突っ込んだ

記者B 運転免許の返納制度もあるが、車なしでは生活できないという事情もあり、なかなか難しい問題だ。

記者C 2月、上越妙高駅前に葬儀場がオープンした。あまり開発が進まない新駅周辺に葬儀場ということで賛否の声が上がったが、今年は家族葬が急激に増加した年だった。

記者B 地元の新聞の葬儀欄も、今までは通夜や葬儀に参列する人に時間や会場を案内するのが主旨だったと思うけど、最近は家族葬がいついつ済んだということを事後的に報告する内容が増えた。

記者A 家族葬は低予算でできるのだが、こぢんまりとやって参列者が少ないということは香典も少ないということで、大赤字になったという話も聞いた。人口減少社会の中で、葬儀のあり方は今後も変わっていくのだろう。

第3回に続く