◇回顧2015◇ 上越タウンジャーナル記者トーク(1)

2015年もあとわずか。今年も「上越タウンジャーナル」をご愛読いただき、どうもありがとうございました。今年1年間、なんとか毎日、記事をアップしてきた記者2人が、新潟県上越地域で起きたいろいろなニュースを振り返り、エピソードを交えながらトークを繰り広げます。今日はその第1回です。

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川村 今年は何と言っても北陸新幹線開業。「日経トレンディ」誌の2015ヒット商品の第1位が「北陸新幹線」だったから、全国的にも注目された。もちろん、上越地域にとっては一番大きな出来事だったと思う。

江口 当日の3月14、15日の開業記念イベントは盛大だった。速達型の「かがやき」は停車しないままだが、上越市の調査では開業後の利用客は想定より多く好調ということだ。

開業イベントの日の上越妙高駅(2015年3月14日)

川村 試乗会で上越妙高駅から金沢駅間を往復してきたが、揺れや振動、騒音が少ないのに驚いた。シートの足元が広くて、足を組んでも余裕がある。北陸新幹線が注目されるのはいいが、素直に喜べないのも事実。山代温泉は関東と関西の観光客数が逆転し、まだ開業していない福井県にも恩恵があったという。金沢の兼六園は4~9月の入園者が147%に達した。ほかに金沢21世紀美術館、立山黒部アルペンルート、五箇山の合掌造り集落などは旅行会社のツアーが目白押しだったが、上越がからんでこない。上越妙高駅に降りて、直江津港から佐渡へ渡り、新潟市に抜けるルートも注目されたが、上越は単なる通過地点だった。

江口 ただ、上越妙高駅について上越市はさまざまな計画の中で「ゲートウェイ(玄関口・交通の結節点・観光の起点)」と位置付けていて、もともとある意味通過点。まあ、そうは言っても「素通り」では困るわけだが、上越タウンジャーナルでは素通りの自虐ネタが読まれた。

川村 「『麦とホップ』の素通り」、「素通りCM」、「おたよりセットの素通り」のほか、「通過時刻表」、「半世紀前の通過事件」などだ。

江口 駅周辺の開発は依然としてこれからといった感じ。超高層のツインタワー構想大幅に縮小された。西口では、コンテナ「フルサット」が孤軍奮闘している状態。記事にはなっていないが、東口の計画も動いており、来年の早い時期に明らかにされるようだ。

川村 周辺が開発されなかった事例として、上越新幹線の浦佐駅がよく挙げられるが、上越妙高駅だってそうなるかもしれない。いまのままじゃ糸魚川駅にも負けている。飯山駅の周辺だって上越妙高駅よりもいい。糸魚川も飯山も、下りてから徒歩で行けるホテルや旅館が何軒かあるのに。

江口 新幹線開業後初の高田城百万人観桜会の目玉は航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」だった。前日にリハーサル飛行はやったが、本番は視界不良のため予定時刻直前に中止になり本当に残念だった。

ブルーインパルスのリハーサル飛行(2015年4月10日)

川村 J-MAXシアターで上映中の山田洋次監督の映画「母と暮せば」の冒頭、北九州の小倉に原爆を投下する予定だったアメリカの爆撃機が、雲で市街が見通せなかったため、第2目標の長崎に向かったという場面がある。そこの場面を見ていて、ブルーインパルスの飛行が視界不良で中止になったことを思い浮かべてしまった。ブルーインパルスは爆撃機や戦闘機ではないんだけれどね。

江口 上越市は中止となったブルーインパルスの展示飛行に約9万5000人が訪れたと発表したね。入り込みの発表については、ほんとにそんなに大勢の人がいたのか、といぶかる声がいつも寄せられるので、今回は画像を使って人数を一人ひとり数えてみるという検証記事も企画した。写真を拡大して何千人も数えるのは正直大変だった。

川村 多くの人出といえばもう一つはテレビ番組「おじゃMAP!!」のロケ

江口 本町商店街が今まで見たこともないほどごった返した。普段はがらがらのアーケードが、すれ違うのも困難なほどで、「テレビ離れ」といわれて久しいが、テレビの力はまだまだ強烈だと実感した。

おじゃMAPのロケを見に来た人でごった返す本町商店街(2015年6月9日)

川村 放送を見たが、一行が上越妙高駅に下り、西口の「光のテラス」の展望をほめたあと、駅の外を歩いて「お店なし」「商店街が見当たらない」と大爆笑だった。たしかに、駅周辺にはなんにもないので、言い返す言葉もない(無念)。番組が放送された翌日、「肉のいろは」の「俺のカレー」が瞬時に売り切れたそうだ。確かにテレビの力はまだまだあるが、芸能人がご飯のおかずを探して、わいわい、がやがや歩き回るような安直な番組ばかり作っていては、そのうちに見放される。

江口 人が集まるイベントと言えば、やはり謙信公祭のGACKT謙信。ガクトさんの今後の出演については、実行委が「今年で一区切り」としていただけに、市長と面会したガクトさんは「市が本気でやるなら僕もやる。これから数年かけて日本の歴史に残る祭りにしたい」なんて言うものだから、みんなびっくりだった。

村山市長らに意気込みを伝えたガクトさん(2015年8月22日)

川村 ガクトさんのスケジュールを見ると、7年ぶりのツアー「VISUALIVE」は、3月19日から7月2日までで終わる。謙信公祭の日に体を空けているのかもしれない。本人はやる気満々だが、果たして上越市が本気になるだろうか。上越タウンジャーナルが実施したアンケートでは、コメント欄にさまざまな角度からのたくさんの意見が寄せられた。上越市も、これらの意見を参考にしてほしい。

江口 今年は安保法制をめぐる運動も印象的だった。これまでこういった政治的な運動は上越ではあまり見られなかったように思う。

川村 弁護士や市民が大手町の高田郵便局前の交差点に立ったり、赤い服などを身に付けたレッドアクションの女性たち、上越教育大学有志の会などなど、さまざま層の人たちが参加し、今も運動を続けている。

大手町交差点に立つ弁護士や市民(2015年7月13日)

江口 こうした運動を紹介した記事には「偏っている」という批判のほか、「賛成の運動も紹介しろ」という意見が寄せられたので、賛成の運動をやるときは知らせてほしい旨を記事の末尾に書いたりもした。

川村 タウンジャーナルで実施したアンケートは、全体では反対が47.0%と賛成の44.0%を若干上回ったものの、20代、30代では賛成の割合がほうが多かった。そういう意味でネット上では「偏っている」と感じる人が多いというのも理解できるが、少数意見もちゃんと紹介するのが報道というものだ。

江口 直接には関係ないのだが、来年夏からの選挙権年齢18歳に引き下げについて先日、高校生や中学生に話しを聞いた際に、いずれの生徒の口からも一言目に出たの「安保法案」という言葉だった。普段はあまり政治に関心のなさそうな学生にも相当にインパクトのあるテーマだったのだろう。


第2回に続く。

https://www.joetsutj.com/articles/94131450
https://www.joetsutj.com/articles/74051427