◇回顧2015◇ 上越タウンジャーナル記者トーク(2)

2015年を振り返る記者トークの前日からの続きです。(記事中で色の変わった文字をクリックすると、その記事が別ウインドウで開きます)


江口 中心市街地活性化事業の「イレブンプラザ」と「あすとぴあ高田」がオープンして3年目だが、歩行者交通量は毎年減少している。今年は前年比9%の大幅減。がんぎっこのステージなど毎週末のイベントはそれなりににぎわっていているものの、活性化されたとはいいがたい。一時全てのテナントが埋まっていたイレブンプラザは「KOSOBA-TEI」(こそばてい)が7月末に撤退してしまい、今も空いたままだ。

本町商店街

川村 あすとぴあ高田では、昨年末に閉店した食品スーパー「旬菜市場はるか」の後が決まっていない。開店当初から売上が少なかったらしく、もはや食品スーパーは誰がやっても無理ではないか。しかし、オープンからずっと空いたままだった2階に、11月に日本政策金融公庫高田支店が入居し、明るい方向も見えてきた。

江口 やっとという感じだが、オープン前からあすとぴあの2階にまつわる問題を報じてきたこともあって、この件は微妙に感慨深い。また、本町は、再開発した場所ではなく、日本最古級の映画館、高田世界館(本町6)の周辺で人通りが増えてきている。

川村 今年から毎日上映するようしたことが大きいし、ボランティアの若者が集まっており、最近ではクリスマスの「お一人様割引」のようなアイデア勝負のイベントを次々と企画していて、今までより確実に活気が出てきている。

高田世界館

川村 いわゆる「中心市街地」の衰退には歯止めがかからないままだが、今年はロードサイド型の100円ずしが相次いで上越に進出した。

江口 回転ずしチェーン最大手「スシロー」が8月に、業界4位の「はま寿司」が10月に相次いで上越市に新規出店。すでに出店していた「魚べい」(元気寿司)、「かっぱ寿司」とさながら100円ずし戦争が繰り広げられた。

川村 両店とも食べに行ったが、ねたの鮮度、味ともレベルが高かった。すしだけではなく、デザート、うどん類がおいしいのに驚いた。アプリで入店時間の予約ができたり、メールで割引券が送られてくるなど、チェーン店ならではのサービスもうまい。100円ずし店同士による客の奪い合いという側面もあるが、むしろ100円ずしのパイが広がったのではないか。ほかの飲食店が少しずつ影響を受けている。

スシローオープンの日の行列(2015年8月6日)
sushi

江口 すしに並ぶ人気の外食と言えばラーメン。今年は撤退、出店とも動きが激しい年だった。12月17日の「秘密のケンミンSHOW」で放送していたが、米どころに住む新潟県人は普段、家で米飯を食べているが、外食で選ぶ筆頭は"ラーメン"という文化があるという。

川村 36年の歴史がある「オーモリ本店東本町店」が4月に閉店したし、14年間営業していた上越市中央1の「らあめん花果山」も9月に閉店した。大豆1の「喜多方ラーメン 大安食堂上越店」が5月に閉店したし、8番ラーメンもなくなった。チェーン店すら採算を取るのが難しい時代になったようだ。また「龍馬軒」が4月に上中田へ移転したし、「GOGO宝来軒」は10月に大豆1へ移転した。これら行列ができる人気店は、より良い立地を求めて移転することで、既存店と差を付けようという戦術だろう。

江口 北陸新幹線の効果で、赤倉温泉など妙高エリアの温泉地がうるおうかと思ったら、今のところ期待したほどではないようだ。「妙高戸隠連山国立公園」の指定という追い風もあったんだが。目立って良かったのはイルミネーションで集客できたアパリゾートと、高級路線で同エリアの他のホテルとは競合しない赤倉観光ホテルぐらいか。

川村 アパリゾートのサマーイルミネーションは、昨年約11万人を集めた。今年は20万人を超え、11月7日には昨年からの累計で30万人を達成した。新登場したウォータープロジェクションマッピングが人気を集めたね。妙高エリアの温泉地は、周辺に遊ぶ所がなかったので歓迎していたようだ。

江口 それにしては、ホテル、旅館は元気がない。リニューアルできず、施設が古いままの所が多い。11月には2つのホテル、旅館を経営していた秀山が事業を停止するなど、どこも経営は厳しいようだ。

川村 365日同一の低料金で多彩なバイキングスタイルが人気の格安ホテルチェーンが、妙高エリアに進出する動きをみせている。冷たい天ぷらを宿泊客に出しているような旅館、ホテルは大きなダメージを受けるのではないか。

アパリゾートのイルミネーション

江口 妙高市の旧新井リゾートを購入したホテルアンドリゾート上越妙高の親会社は、韓国のホテルロッテ。世界規模でホテルを展開しているだけに、韓国や中国などアジアを中心に客を連れてくるだろう。

川村 赤倉など妙高エリアのスキー場をみると、オーストラリアや中国などの外国人が非常に多くなってきた。これからは外国人をいかに呼び込むかがカギのようだ。

江口  インバウンド(訪日外国人旅行客の誘致)については、妙高市が5年以上前から先行して取り組んだ結果さまざまな成果を上げている一方、上越市は今年7月に官民からなる「上越市インバウンド推進協議会」を作ったばかりだが、妙高市とは別に取り組んでいるようだ。海外を旅行するときの地理的な感覚から言っても妙高市と上越市は隣ですらなく、同じエリアだ。県上越地域振興局企画振興部がやっているように、この地域を一つのエリアとして取り組むべきだと思う。


第3回に続く。

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