新潟県上越市議会は2023年9月4、5日、9月定例市議会の総括質疑を行った。中川幹太市長は、雇用調整助成金など約3900万円を不正受給したことを受けて解散する同市の第3セクター「リフレ上越山里振興」の清算金6000万円を市が負担することについて、「多額の市税を用い大変申し訳ない」と陳謝した。
総括質疑を行った7人の議員のうち6人がこの問題を取り上げ、市の方針をただした。
清算金6000万円について中川市長は8月25日の定例記者会見では「仕方がない金額」と述べていたが、市議会では一転陳謝した。
中川市長は、同社は市が主体となって設立した会社で、役員は町内会長など地域団体のいわゆる「充て職」で、多くが無報酬で在職期間も短いとして、「役員に経営責任を過度に負担させることは適切ではなく、市が責任を持って対応すべきと判断した」と説明した。
また、債務超過状態にある同社を破産させず特別清算とする理由について、破産の場合は金融機関に借入金の損失補償契約をしている市だけでなく、連帯保証している一部の役員に支払い義務が生じるほか、協力してきた関係者の信頼を損ない今後の市政運営に支障が出る可能性もあるためとした。
中川市長は「(様々な)事情を総合的に勘案し、市の財政支援で債務を完済することが、現状選択できる中で最善の手法」と強調し、理解を求めた。
同社は8月31日、新潟労働局に不正受給額と延滞金など総額約4900万円を全額返還した。市は、不正受給の返還金に対する支援は行わない一方、同社の設立を主導し共に事業を行ってきたとして、清算に際し同社が返済できない借入金約5600万円と清算費用約400万円の計6000万円を計上した補正予算案を今議会に提案している。