上越市3セクの不正受給 公金投入せず取締役が連帯して返還 施設1月5日から休館

新潟県上越市は2022年12月22日、同市の第3セクター「リフレ上越山里振興」による雇用調整助成金など約3915万円の不正受給事件で、同社が労働局から請求されている返還金に市の公金は投入しない方針を明らかにした。一方、市によると、同社は同日までに取締役が連帯して返還にあたることを決めたという。また、市は1月5日から当面の間、同社が管理運営する市の温泉宿泊施設「くわどり湯ったり村」やレストラン「ヨーデル金谷」など3施設を休館させる。

市「不正に公金投入せず」

同社は不正受給額に加え総額の2割相当の額と延滞金の支払いを労働局から求められている。同日の定例会見で中川市長は返還について会社が対応すべきという考えを示した上で「速やかに返還することが求められる。会社については市としても少し監視が足りなかった」と述べた。出資者であり、施設の設置者である市の責任などについては「会社が依頼した弁護士の調査の完了を受けて、市として判断する」などと繰り返した。施設については「今やっている事業が途絶えないように、最大限の配慮をしていきたい」と話し、会社の存廃にかかわらず3セクが担っている事業は継続し、施設を維持する考えを示した。

記者会見でリフレ上越山里振興の不正受給事件の対応を説明する中川市長

「連帯して返還」と取締役会で決議

小田基史副市長は「仮に会社の一部の職員がやったことであったとしても、当然、取締役の責任は免れない」との認識を示した。また、同日の市議会全員協議会で市は、会社が20日に取締役会で、取締役が連帯して全額の返還にあたることを決議したと報告した。市によると、資金調達ができ次第早急に全額を返還する。個々の取締役や会社の負担割合は、弁護士による調査結果が出た後に決めるという。

市議会全員協議会で議員に説明する小田副市長

市議会「善意の地域代表役員には酷」

同社の10人いる役員のうち9人は非常勤で、地域代表などいわゆる「あて職」。全員協議会では議員からは「地域のために善意で取締役を引き受けてくれた人に返済責任を負わせるのはいかがか」「経営に精通した人がいない役員構成を選んだのは 、約9割の株式を持つ上越市ではないか」などの意見が出た。

待たれる調査結果

同社では弁護士に依頼して調査を進めており、結果がまとまり次第公表するとしている。

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