新潟県上越市は2023年5月16日、雇用調整助成金など約3915万円を不正受給した同市の第3セクター「リフレ上越山里振興」が運営している温泉宿泊施設「くわどり湯ったり村」(同市皆口)の新たな指定管理者に、温泉宿泊施設の運営などを手がける「オーガニックリゾートホールディングス 」(本社、長野市)を選定したことを明らかにした。リフレ上越が運営しているレストラン「ヨーデル金谷」(上越市大貫2)は従業員が設立した新会社を指定管理者とする。市は23日に開かれる上越市議会の臨時議会に関連議案を提案する。
指定管理者募集に3社応募
同市は不正受給事件を受け、リフレ上越の指定管理を5月末で取り消し、本年度内にも解散させる方針で、新たな指定管理者を募集していた。オーガニックリゾートを含めて3社から応募があり、学識経験者のほか経営や財務の専門家、施設利用者の代表らによる選定委員会が審査し、同社を選定した。
長野県内で2施設運営の実績
同社は子会社が「小布施温泉あけびの湯 」(長野県小布施町)、「須坂温泉古城荘 」(同須坂市)を運営しているほか、グループでホテルや温泉旅館、日帰り温泉施設などのコンサルタント業務を行っている。長野県内の2施設がコロナ禍を乗り切った実績や連携、コンサルタント業務で培った運営ノウハウへの期待などが評価された。提案された事業計画では、参加型イベントの実施や年間を通じた体験プラン、健康を意識した食事の提供、長野県内での販路構築、旅行会社との商品企画を検討するとしている。
指定管理期間はリフレ上越の残りの運営期間に当たる6月1日から2025年3月31日までで、かやぶき古民家の体験交流施設「ゆったりの家」(上越市横畑)も管理運営する。市は新たな指定管理者の募集にあたり、2025年4月1日以降の事業継続も応募条件としていて、同社から事業継続に向けた提案もあったという。
ヨーデル金谷は従業員による新会社が運営へ
レストラン「ヨーデル金谷」(同大貫2)は、不正受給に関与した従業員がいなかったことから新たな指定管理者の公募は行わず、従業員が4月に設立した新会社「ミーナハライペ」(同大貫2)について選定委員会が審査し、指定管理者として適正と判断した。指定管理期間は湯ったり村などと同様に6月1日から2025年3月31日まで。