回顧2021年 上越タウンジャーナル記者トーク(2)

今年1年を振り返る記者トークの前日からの続きです。(記事中で色の変わった文字をクリックすると、記事が別ウインドウで開きます)

トリプル選挙でいずれも新人当選

記者B 今年は政治が大きく動いた。10月31日、上越市は総選挙、市長選、市議補選のトリプル選挙だった。いずれも新人候補が当選した。

6区に2人の国会議員が誕生

記者A 新潟6区では野党統一候補として臨んだ立憲民主新人の梅谷守さんが、自民現職の高鳥修一さんを破って初当選した。6区での野党の議席奪取は2009年8月の総選挙で当選した筒井信隆さん以来だ。

初当選を喜ぶ梅谷さん(右から2人目、2021年10月31日)
梅谷氏万歳

記者C 梅谷さんは3度目の挑戦。得票差はわずか150票と全国最小で、どちらが勝ってもおかしくない状態だった。高鳥さんも比例で復活当選して通算5回目の当選を果たした。その結果、上越地域には2人の衆議院議員がいることになり、選挙運動期間中にも各陣営に「地域にとっては2人が当選したほうがいい」と言ってこうした結果を望んでいる人たちが少なからずいた。

一騎打ちの上越市長選

記者A 同日の上越市長選は3期12年務めた村山秀幸さんが勇退し、副市長だった野澤朗さん、元市議で2度目の挑戦となる中川幹太さんの一騎打ちだった。

2021市長選告示

記者C こう言うと本人からは違うと怒られるかもしれないが、野澤さんは村山さんの事実上の後継で、戦術は従来型の組織戦で、普通はこっちが勝つと思う。

記者A しかし、中川さんは市内全戸訪問を目標にコツコツと歩き、4年前の選挙では5万1千票を取り村山さんに1462票差に迫った。それだけに知名度も抜群。一方、野澤さんが正式に出馬表明したのは、今年6月で、副市長とはいえ、知名度はほとんどなく、投票日まで時間もなかった。さらに組織戦といえども、急ごしらえの組織もきちんと動かなかった。

記者B いろいろと言い始めればきりがないが、村山さんの3期12年は手堅くしっかりとしていて市政をさまざまな面で安定させた12年間だったが、そろそろ変化を臨む市民が多かったということが今回の結果をもたらしたのだと思う。

市選管のミス相次ぐ

記者C 今回の選挙では、市選管が違法ビラにOKを出して、2万枚以上が選挙運動期間中に配布されるという信じられない不祥事が起きた。

記者B 選管が候補者本人の写真入り、名前入りのビラにOKを出すとはあまりに考えられないことで、多くの関係者から「ウラに何があったのか」とわたしのところにも問い合わせが来た。結局は担当者1人がよくわからずに判断して組織内での決裁も得ていなかったという単純なとんでもない話なのだが、そう説明して「そんなはずないだろう。なにかウラがあるだとう」と信じてもらえずなかなか困った。

記者A 選管といえば、トリプル選挙での開票もトラブル続きだった。市長選では95票を一時見失い確定が翌日の午前1時20分と大幅に遅れた。また有権者数も誤って発表したことで、投票率も最終的に訂正する事態となった。

記者C 電子投票がいいのどうか分からないが、もし電子投票が実現すれば、こんなことはなくなるのかもしれないけど、当分実現しそうにないね。

中川新市政の展望

記者B 初登庁した朝の職員への訓示が印象的だった。自らについて「異質な存在が非常に大きな権力を持つ市長になった」と切り出した。「異質な存在」、「大きな権力」、まさにその通りなのだがストレートな物言いだ。

記者A そこから、副市長4人制、諮問委員、人事改革と動かしていこうとしたが、副市長は議会に否決されたし、諮問委員も当面は取り下げることになった。「反対ではないのだが、全体像が見えない」「拙速だ」などというのが否決の理由で、中川市長は「とにかく対話が足りなかった。時間をかけて議論していく」と納得を得て実施していく姿勢を示している。

記者C 人事改革を含めて何事についても、「急に大きく変えることはしない」「話をよく聞いてから」と慎重な姿勢がうかがえる。議会答弁でも同じ傾向で、まずは話を聞き現状をよく理解してから取り組むという姿勢で答弁している。元の同僚だった議員から若干意地悪な質問をされても、ぐっとこらえて冷静に答弁する姿にもそれが現れている。

記者B こうしたスタンスは大きな変化を求める市民にはじれったいと感じられることもあると思うが、どんな改革もそう単純ではない。自らを「異質」と認識しているからこそかもしれないが、まずは現状をじっくり把握してからという慎重な姿勢には好感が持てる。

記者A とはいえ、やはり副市長4人制などは全体像が誰にも分からない状態で突然の感が否めず、市の職員も「異質な」新市長にどう対応していいか分からないというのが正直なところではないだろうか。

記者C 大変だと思うが、年明けの市長査定を経てどんな新年度予算案が出てくるのか注目だ。

<つづく>

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