今年1年を振り返る記者トークの前日からの続きです。
PCGのリゾート開発
記者A 外資系不動産投資ファンドのペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)の妙高高原地域での大規模リゾート開発がいよいよ具体的になってきた。
記者B 妙高市杉野沢の妙高杉ノ原スキー場敷地に建設するホテルは、英ホテル大手のIHGホテルズ&リゾーツ(IHG)が運営する高級ホテルブランド「シックスセンシズ」に、PCGが管理運営するファンドが所有する同市関川のホテル「ライムリゾート妙高」は仏ホテル大手のアコーが運営する国際的高級ホテルブランド「Mギャラリーコレクション」となることが発表された。シックスセンシズは来年4月に着工予定だ。

記者C 地元に大型投資があることはいいことだが、高級すぎてとても地元住民には手が届かないのでは。
記者B 大規模リゾート開発は雇用機会の増加や関連産業の活性化などのメリットもあれば、物価の上昇やオーバーツーリズムなどのデメリットも懸念される。PCGには丁寧な説明や対話の継続、地元への還元を願いたい。
地域に愛された店が閉店
記者C 今年も多くの人に愛される店が閉店した。直江津地区で長年営業してきた飲食店「鳥まん」が店を閉めると聞いた時は本当に驚いた。人情味あふれる社長にはこれまでもたくさんお世話になった。

記者A ほどなくして「魚住かまぼこ店」が9月に閉めるという情報が入ってきた。先代が1969年に店を開いたが、後継者不在や従業員の高齢化で、一般財団法人上越市環境衛生公社が同店の“のれん”を守ろうと買収し、スタートを切ったんだ。アイデア満載の新商品を発売したり、児童養護施設をはじめ、市民団体への寄付を継続したりと地域貢献に大いに励んでいたよね。
記者B 高田郵便局隣にあった「いまいストアー」は9月に店を閉めた。社長は取材を申し込んだ時、とても気さくに応じてくれた。自身の父親が開店し、自身が会社を継いだ話など、これまでの店の歴史、客や従業員への思いなどを色々語ってくれたな。常連たちからは閉店を惜しむ声が相次いだことに納得した。

記者C いずれの店もお客や地域にこれまでの感謝を語っていたのが印象的。建物の老朽化、後継者不足や体力の問題、物価高騰など、閉店理由はさまざまだったが、自分もこれまでたくさん取材をさせてもらえて感謝でいっぱい。正直、今でも寂しい思いは消えない。
スポーツでの活躍目立つ
記者A スポーツ関連では、プロ4年目の関根学園高出身の西武の滝澤夏央選手(22)の活躍が目立った。ファン投票でパ・リーグの二塁手部門で2位となり、オールスターゲームに初選出された。年末の後援会主催のファン交流会には全国から約300人が集まり、地元からプロ野球の人気選手が誕生したことを改めて感じた。来季はレギュラーを奪取してほしい。

記者C プロ野球では滝澤選手の後輩の池田栞太捕手(18、関根学園高)が、育成ドラフトでソフトバンクから1位指名を受けた。強肩の池田捕手は「スローイングで滝澤選手の盗塁を刺したい」と言っていたので、先輩・後輩対決の実現が楽しみだ。

記者A プロと言えば、石川県金沢市を拠点とする男子プロ卓球チーム「金沢ポート」と選手契約した上越市出身の新潟産業大学付属高校1年卓球部の吉田蒼選手(16)の今後の活躍にも期待したい。
記者B 高校生でプロ契約は驚き。アマチュアでは、日本では初開催となった聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」では、バレーボール女子の岡田夕愛選手(17、上越高校3年)が金メダル、サッカー男子の齋藤心温選手(24、高田SC)が銀メダルを獲得した。2人とも今後も競技を続け、次回大会での金メダル獲得を目指している。ぜひ頑張ってほしい。
金属窃盗相次ぐ、ブロンズ像盗も
記者B 春頃から鉄製の排水桝や側溝グレーチングの盗難被害が相次いだ。5月下旬から6月にかけては特に多く、金属盗に限ると、2か月足らずで計7回記事にした。
記者A 9月以降も一気に被害が増えた。公園に設置されているステンレス製の車止めや農道のグレーチングなどが盗まれた。そんな矢先、市道の側溝グレーチングを盗んだ男が逮捕された。金属製品を繰り返し盗んでいたことも判明し、盗んだ金属類は120点以上で、男は盗品を金属買い取り業者に売却していた。
記者C 高田城址公園のブロンズ像が台座から外された状態で2基盗まれた事件もあった。今もまだ、犯人は捕まっていない。

記者A このほかに、22歳の男2人が妙高市で鉄板など約85トンを盗んで逮捕された事件もあった。余罪捜査では妙高市、上越市、長野県でも犯行に及び、被害総額はかなり高額で、約2000万円にものぼった。他人になりすまして金属買取業者に売却もしていた。
節目重なる1年 マツケン謙信も盛り上げる
記者A 最後は明るい話題で。「平成の大合併」のピークから20年を迎え、上越、妙高両市にとっても節目の年だった。妙高市では複合施設まちなか+が開館。ドローンショーも行われ、多くの市民が集まった。
記者C 上越市は一大イベントの高田城址公園観桜会と謙信公祭が100回目を数えるなど、八つの節目が重なる「上越アニバーサリーイヤー」としていた。観桜会ではプロジェクションマッピングやオープントップバスの運行など新しい取り組みがされた。
記者B 何と言っても謙信公祭の“マツケン謙信”は驚きだった。俳優の松平健さんが、50年のキャリアの中で初めての上杉謙信役を演じて盛り上げてくれた。祭りに向けて意気込みを聞く機会があったけれど、穏やかで気さくな人柄は想像通りだった。

記者A 謙信が愛用した刀で国宝の「太刀無銘一文字(号 山鳥毛)」の特別展示も話題を呼んだ。鑑賞時間は1組当たりわずか2分間だったけれど、約430年ぶりに里帰りした刀を一目見ようと大勢が訪れた。こうした記念イベントもあって入り込みは昨年から倍増した。

記者B 松平さんの後の謙信役はプレッシャーだろう。今年は多くのイベントが節目の年だけににぎわいを見せたけれど、来年はどうなるか。
<おわり>