郷土の戦国武将、上杉謙信が愛用した刀で国宝の「太刀無銘一文字(号 山鳥毛)」の特別展示が2025年8月13日、新潟県上越市本城町の市立歴史博物館で始まった。鑑賞時間は1組当たりわずか2分間だが、「刃文の迫力は別格」と来場者は上杉家が会津に移封された1598年以来、上越に約430年ぶりに里帰りした刀を鑑賞していた。

山鳥毛は備前刀の刀工集団、福岡一文字派が鎌倉時代中期に、拠点としていた岡山県瀬戸内市で作り上げた最高傑作と言われている。刃長は79.1cmで、身幅が広く反りの高い堂々とした姿。華やかな刃文が特徴で、山鳥の羽毛に似ていることが号の由来とされている。事前申し込みの観覧券は完売し、12日間で市民960組1930人と一般2040組3617人の計5547人が観覧する予定。

一番乗りで観覧した刀剣好きという上越市の会社員男性(49)は「繊細さと唯一無二の刃文の迫力が別格だった。上越で見られたことが一番重要で、貸し出した瀬戸内市の義の心を感じた。5分は見たかった」と話した。近年の刀剣ブームの火付け役となった人気オンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」のファンという三条市の女性(29)は「刃文が華やかですごく奇麗だった。ゲームのキャラクターも思い浮かべながら見た。(ゲームとのコラボ企画の)スタンプラリーで市内を巡りたい」と話していた。

山鳥毛は上越市が購入に向け所有していた岡山県の個人と交渉したが、購入金額が折り合わず2017年に断念した経緯がある。第100回謙信公祭(8月23、24日)に合わせ、所有する瀬戸内市から借り受けた。展示は24日まで。
瀬戸内市PRブースで山鳥毛グッズ販売
同館1階ラウンジには、山鳥毛を所有する瀬戸内市の観光協会による同市のPRブースが開設されている。観光パンフレットやPR動画の紹介のほか、今回の特別展示のために同市の刀匠が「山鳥毛」「上越」と彫った「銘切りプレート」やポストカード、刀身をプリントしたトートバッグ、山鳥毛をデザインした西陣織の帯といった山鳥毛グッズがずらりと並ぶ。山鳥毛の観覧を終えた人だけでなく、「グッズだけでも買いたい」という人も訪れ、会場は終始にぎわっている。

瀬戸内市でグッズを製造販売している珠鋼ジュエリーの宮本真知子さん(51)は「限定の銘切りは完売しそう。観覧券はなくても来場できるので、グッズを通して山鳥毛や瀬戸内市を知ってもらえたら」と話していた。


会場では、山鳥毛の号の由来となった山鳥や夕日に燃える山を背景に刀身が描かれた御朱印(ごしゅいん)風の「御刀印(ごとういん)」、山鳥毛の刃文をデザインしたTシャツ、刀剣乱舞とのコラボレーション企画のクリアファイルなども販売されている。時間は午前9時〜午後7時。