妙高市在住の匿名希望さんから、次のような情報が寄せられた。
本物のゲルだった!
半信半疑で、さっそく現地に向かった。車を走らせていると、白いテントのようなものを発見。「これか!」。想像していたものより随分大きい。入り口の扉が開いていて、話し声が聞こえたので声をかけた。
中にいたのは隣にある農機具買い取り・販売業「安騰(あんとう)商事」の社長、呼格吉勒(フグ・ジレ)さん(39)と妻のウランさん(39)。「これは本物のモンゴルのゲルですか」と尋ねると、「そうですよ」と答え、いきさつを説明してくれた。
ゲルと言えば、モンゴル高原の遊牧民が暮らしている移動式住居である。
2人が2001年に柏崎市の新潟産業大学に留学生として来日した際、モンゴル好きの会社社長が内モンゴルからゲルを取り寄せた。2人は2005年に上越へ移住したが、ゲルは使用されず倉庫に眠っていたことが分かり、呼格さんが譲り受けたという。
ボロボロのゲルを修復
ゲルはボロボロの状態だった。色を塗り直し、足りない部材をモンゴルから取り寄せたりしてようやく完成。3年前に会社隣の空き地を借りて建て、今年は4年目を迎えた。
「骨格部分は昔ながらの木組みで、釘や金具などは使わず、部材は牛の皮で縛ってあります。モンゴルでも昔ながらのものは少なくなっていますね」と話す。遊牧民は1、2か月で移動するので、その際はジャバラ式に折りたたんで運ぶという。
円形のゲルは直径7m、高さ3m。4、5人用の家族用ゲルではなく、宴会などに使う大型のもので、中には50人程度が入れる。中央には料理用の炉を置くスペースがあり、天井の穴から煙を排出する仕組み。テント部分は羊の毛を使ったフェルト状の布で覆われている。夏の暑い時は布をめくると風通しを良くすることができる。それでも真夏は暑いので、今年はエアコンを入れたという。
子供の絶好の遊び場に
現在は遊具を置き、5歳と2歳の娘の絶好の遊び場になっている。「私の子供の頃は遊牧民だったので、ゲルの中で過ごした。子供は日本で生まれたので、小さい頃から見せておこうと思って。できれば草原に設置したいのですが」と話す。日本人の友人や仲間なども集まって過ごすこともあるという。
台風のときは飛ばないように縛って固定するが、雪が降る冬季はたたむ。例年は5月から11月中旬まで建ててあるという。「通りかかったら声をかけてもらえれば、見学できます。興味のある方は貸し出しもしますよ」と話している。
問い合わせは、安騰商事0255-78-7867。
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