【TJ調査隊】妙高市にモンゴルのゲル? 不思議な室内に潜入

妙高市在住の匿名希望さんから、次のような情報が寄せられた。

私は妙高市在住の者です。国道292号線・栗原地内を車で走行中に、民家の敷地内にモンゴルのゲル(移動式住宅)が建っているのを見掛けました。どういう理由で建っているのか、中はどうなっているのかすごく気になるので、ぜひ取材お願いします。(妙高市・匿名希望さん)

本物のゲルだった!

半信半疑で、さっそく現地に向かった。車を走らせていると、白いテントのようなものを発見。「これか!」。想像していたものより随分大きい。入り口の扉が開いていて、話し声が聞こえたので声をかけた。

モンゴルの移動式住居「ゲル」を発見!
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中にいたのは隣にある農機具買い取り・販売業「安騰(あんとう)商事」の社長、呼格吉勒(フグ・ジレ)さん(39)と妻のウランさん(39)。「これは本物のモンゴルのゲルですか」と尋ねると、「そうですよ」と答え、いきさつを説明してくれた。

ゲルと言えば、モンゴル高原の遊牧民が暮らしている移動式住居である。

2人が2001年に柏崎市の新潟産業大学に留学生として来日した際、モンゴル好きの会社社長が内モンゴルからゲルを取り寄せた。2人は2005年に上越へ移住したが、ゲルは使用されず倉庫に眠っていたことが分かり、呼格さんが譲り受けたという。

ゲルを復元した呼格さん
呼格さん

ボロボロのゲルを修復

ゲルはボロボロの状態だった。色を塗り直し、足りない部材をモンゴルから取り寄せたりしてようやく完成。3年前に会社隣の空き地を借りて建て、今年は4年目を迎えた。

骨格は昔ながらの木組み。成吉思汗(チンギス・ハン)の肖像画があった
チンギスカン

「骨格部分は昔ながらの木組みで、釘や金具などは使わず、部材は牛の皮で縛ってあります。モンゴルでも昔ながらのものは少なくなっていますね」と話す。遊牧民は1、2か月で移動するので、その際はジャバラ式に折りたたんで運ぶという。

円形のゲルは直径7m、高さ3m。4、5人用の家族用ゲルではなく、宴会などに使う大型のもので、中には50人程度が入れる。中央には料理用の炉を置くスペースがあり、天井の穴から煙を排出する仕組み。テント部分は羊の毛を使ったフェルト状の布で覆われている。夏の暑い時は布をめくると風通しを良くすることができる。それでも真夏は暑いので、今年はエアコンを入れたという。

子供の絶好の遊び場に

現在は遊具を置き、5歳と2歳の娘の絶好の遊び場になっている。「私の子供の頃は遊牧民だったので、ゲルの中で過ごした。子供は日本で生まれたので、小さい頃から見せておこうと思って。できれば草原に設置したいのですが」と話す。日本人の友人や仲間なども集まって過ごすこともあるという。

子供の遊具や椅子、テレビ、エアコンなどがある内部
内部

台風のときは飛ばないように縛って固定するが、雪が降る冬季はたたむ。例年は5月から11月中旬まで建ててあるという。「通りかかったら声をかけてもらえれば、見学できます。興味のある方は貸し出しもしますよ」と話している。

問い合わせは、安騰商事0255-78-7867。

調査してほしいこと募集中!

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ゲルがある場所(妙高市栗原4-6-22)