2019年12月に閉店した新潟県上越市南本町3の「滝本菓子店」の銘菓「チャーム」が、障害者や高齢者支援などを行う同市大貫1のNPO法人ささえ愛みんなの家(池田正直理事長)が敷地内で運営する、障害者就労継続支援事業所「はなの家」で復活した。元店主の滝本清さん(77)が製造を指導し、2020年9月1日から販売を始めた。
「チャーム」とは
チャームは、カステラ風の生地にバタークリームとあんを挟んだボリューム感たっぷりのブッセ風の和洋菓子。1933年(昭和8年)創業の滝本菓子店が約50年前から製造・販売する看板商品だった。店は、清さんと二人三脚で菓子を作り続けてきた妻の美津子さん(75)が倒れ介護が必要になったことから2019年12月15日に閉店し、チャームは姿を消していた。
元店主が製造指導
高田の名物菓子復活のきっかけは、同法人の職員が滝本夫妻の古くからの知人で、障害者の就労の場として今年4月1日に同法人の敷地内にオープンした「喫茶たんぽぽ」のメニューの一つにしたいと、清さんに教えを請うたことに始まる。2月から週1、2回、施設に通所する障害者や指導員が清さんの講習を受け、作り方を習得した。
ブッセ生地の大きさや形が均一にならなかったり、施設にあったオーブンが家庭用で生地の膨らみが足りなかったりと、試行錯誤の連続だったという。業務用オーブンを購入するなどして、2か月をかけて清さんから商品としての太鼓判をもらい、チャーム半分とチーズケーキ、飲み物がセットになったケーキセット(税込み500円)として提供してきた。
9月1日からテイクアウト販売開始
9月1日からは、敷地内にプレハブで建設した菓子製造の「お菓子処ぽぴい」が営業を始め、テイクアウト販売も可能になった。「特製CHARM」と印字されたビニールの包装も以前と同じで、滝本菓子店から継承したことも記してある。価格も以前と同じ1個税込み190円。
名物菓子復活に喜びの声
ぽぴいでは、清さんが長年店で使っていた調理設備を譲り受け使用。20〜50代の男女最大4人の障害者が指導員とともにチャーム作りに励んでいる。
清さんは現在も週1、2回程度、ぽぴいで障害者や指導員に製造指導を続けている。「1人ではできないと店を閉めたが、今は生きがいで、時間のある限り教えていきたい。(障害者の)皆さんは一生懸命、真面目に作っている」と語る。中身を挟む作業を担当していた妻の美津子さんは、同施設の高齢者デイサービスを利用しており、講習会ではコツを伝授したという。美津子さんは「皆さんのおかげで(チャームが復活し)うれしい」と話した。
製造方法を学んだ指導員の今井百合愛さん(21)は「最初は不安だったが、喜んでもらえている。みんな生き生きと作っていて、完成して味見をして『おいしい』と笑顔で話しているのがうれしい」と話した。
電話予約がおすすめ
チャームは喫茶たんぽぽで月〜土曜に販売。製造数に限りがあるため、事前に電話予約するよう法人では呼び掛けている。喫茶たんぽぽ025-523-1504。