上越産の小麦を使ってパンを作る夢を実現するため、新潟県上越市南高田町の小竹製菓(小竹孝雄社長)は2020年6月22日、同市柿崎区下小野のほ場で小麦の刈り取りを行った。
小麦は同区荻谷の専業農家、田中基輝さん(44)に栽培を委託し、休耕田14aに植え付けた。周囲の田んぼは青々とした稲が広がるが、麦を植えた一画だけ黄金色の“麦秋”真っ盛り。田中さんは「雨が多いと品質が悪くなるが、今年は雨が少なく出来はまずまず」と話す。
収穫には小竹製菓のパン製造担当者など8人が参加。同区の若手農業者による「いぶきの会」のメンバーの指導を受け、コンバインで刈り残した部分をカマで手刈りした。収穫量は約600kgの見込み。
パンの仕込み、製造を担当している吉田沙耶花さん(23)は「小麦畑は見たことがなく(収穫は)秋かと思っていた。自分たちが刈った小麦が製品になると思うとうれしい」と話していた。
約1時間の作業終了後、ほ場にテーブルを据え、全粒粉で作ったパンの試作品を囲んで試食会を開いた。
小竹社長は「自分たちが刈ったものが商品になり、楽しみながら仕事をするチャンスでもある。生産者の顔が見える安心安全の上越産小麦を広げていきたい」と話す。
上越産小麦を使った新製品は、試作を経て11月1日の発売を予定している。試食会の意見交換では、湯種製法による全粒粉食パン、次世代型サンドパン、焼き菓子、クッキーなどのアイデアが出ていた。