上越地域の冬の風物詩「川渡餅」今年も販売 菓子店などで12月1日まで

新潟県上越地域の冬の風物詩で、郷土の戦国武将、上杉謙信の故事にちなんだあんころ餅「川渡餅」が2022年12月1日まで、上越市内の菓子店で販売されている。原材料費の高騰の影響を受け、各店昨年より10円値上げし130円(税別)での販売となったが、初日の11月30日には、朝から川渡餅を買い求める人の姿が見られた。

菓心亭かまだ大手町店で川渡餅を買い求める客

無病息災を願って食べる川渡餅は、上杉謙信が川中島の戦いで千曲川を渡る際に、餅を兵に配って士気を高め、武田軍に勝利したという故事に由来する。高田や直江津地区の菓子店では毎年11月30日、12月1日の2日間限定で販売され、市民には冬の訪れを感じさせる味として根付いている。

上越地域で3店舗を運営する菓心亭かまだ(鎌田耕一社長)では、11月30日の午前3時から仕込みをし、2日間で約5000個を販売予定。北海道十勝産小豆と妙高産「こがねもち」を使用した、こしあんとつぶあんの2種類がある。

菓心亭かまだの川渡餅

同市大手町の大手町店では、取り置きや予約の電話が相次いだほか、客が訪れては次々と川渡餅を手にとっていた。自宅用に購入した同市東本町1の男性(63)は「いよいよ冬が来たなと感じる。今年もあと1か月しかないけれど、いい年でありたいと思いながら味わいたい」と微笑んだ。

鎌田社長(76)は「年に一度の川渡餅なので、いわれなどを会話のたねに、一家だんらんを楽しんでもらえれば」と話している。