カラスの嘆き歌う「上教大のカラスたちへ」

日本有数のカラスのねぐらがあると言われる上越教育大周辺。そこに住むカラスたちの人間へのささやかな抵抗と嘆きを歌ったフォークソング「上教大のカラスたちへ」が、親しみやすいメロディーとメッセージ性で人気を呼んでいる。

 

 作詞・作曲は京都生まれで、上越教育大の大学院生3年、浅田和範さん(28)。2010年10月に曲が出来上がり、2011年4月ごろから上越市内のライブハウスやイベントで歌い始めたところ、40~50代の男性を中心に幅広い層に受けているという。

 

愛用のVGのギターを弾いて歌う浅田さん(2011年6月27日・上越教育大で)
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院生1年後期の理科の授業で、上教大近くの杉林は日本有数と言われるカラスのねぐらがあり、大学ができる前からカラスが住んでいたと習った。浅田さんは大学院に入る前に旅行会社で働いていたこともあり、「社会で上下関係をいろいろ見てきたので、人間がカラスを支配し、カラスはそれに抵抗しているのではないかと感じた」ことが曲の発想となった。

「上教大のカラスたちへ」

↓夕方になると上教大付近に集まってきて電線に群がるカラス
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作詞・作曲は18歳のころから始め、これまで20曲ほどのオリジナル曲を作った。「これまではラブソングがほとんど。上越に来たのは何かの縁なので、上越にいないとできない歌を作りたかった」と話す。

コブクロ、ゆずをはじめ、ミスター・チルドレンや長渕剛の初期の曲が好きで、ビートルズの影響も受けた。70~80年代のフォークソングやポップスを思わせる軽快で一度聞いたら忘れられないメロディーと、メッセージ性を兼ね備えた曲に仕上がった。

昨年12月末、サウンドエンジニアの玉城まさゆきさんに編曲と、ベース、ドラムスのサウンドデータの打ち込みを依頼。浅田さんがアコースティックギターを引きながら、ハーモニカや歌声を多重録音し完成した。

「地元の人に曲を知ってほしい」と、今年1月に動画投稿サイトYouTubeに曲をアップ。その後は、ライブやイベントの際に必ず歌っている。学内でも徐々に認知されてきたという。2011年7月9日午後6時30分から上越市仲町2の「ライブハウス・メモリー」で行われるライブ(有料)にも出演する。

雪国暮らしは初めて。「次は、雪を直接テーマにするのではなく、冬から春を迎えるときの喜び、励ましのような曲も作ってみたい」と話す。


「上教大のカラスたちへ」

作詞 浅田和範
 作曲 浅田和範
 編曲 玉城まさゆき / 浅田和範

上教大のカラスたちへ お前たちに言いたいことがあるんだ
なぜここに集まるの 爆弾を落とすな 朝っぱらからカァカァうるさいよ

上教大の人間たちへ オレたちカラスから言いたいことがあるんだ
この場所は昔は オレたちの住む森 奪ったのはお前たちだろう

黄昏の空にこだまする カラスたちの鳴き声が 
敵わない相手に向けた嘆きのブルースだろうか

上教大のカラスたちへ 人間の社会は理不尽なことばかりさ
苛立ちを感じながら笑ってハイって言う 本当の気持ちを胸に隠して

森を切らなければ 住む場所がなくなり 家族みんなが生きてゆけない 
おかしいと思うだろう? バカだと思うだろう? 必死で大切な人を守ってる

知らぬ間に成り立ってしまってる 支配するされるの関係が 
世の中平等なんてありゃしない 金と欲望がある限り

黄昏の空にこだまする カラスたちの鳴き声が 
敵わない相手に向けた嘆きのブルースだろうか

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