2018年6月9日、ようやくオーナーと連絡が付き、上越市柿崎区へ向け車を走らせた。「あばれ井戸の湯」は、国道8号から約4km東へ進んだ山の中にあった。山小屋風で平屋建てのしゃれた建物だ。出迎えてくれたのは、横尾博美さん(65)、シズエさん(64)夫妻。営業する日は、住まいがある妙高市から1時間ほどかけて通ってくるのだという。
前施設をリニューアルしオープン
柿崎区栃窪にはかつて、栃窪温泉と新栃窪温泉の2つがあったが、1723年(享保8年)創業の栃窪温泉「鷺乃湯」は2015年に廃業した。新栃窪温泉「清乃湯」は1999年に開業したものの、経営者が高齢のため2005年秋に営業をやめたという。
新栃窪温泉「清乃湯」を引き継いだのが、“温泉ファン”を自称する横尾さん。2005年秋に施設を買い取り、建物や設備を大規模改修して、池の周囲に石垣やフェンスを作った。「家を1軒新築するぐらい費用がかかった」と笑う。
町内会行事が忙しく臨時休業やむを得ず
営業を始めたのは2008年4月なので、今年で10年目になる。温泉名は源泉名にちなみ「あばれ井戸の湯」と名付けた。当初は週4日営業だったが、同年9月からは土日曜だけにした。しかし、今年は町内会長を引き受けたため、町内行事や会議の出席で営業できない日が多くなった。5月27日にオープンしたものの、その後は6月2日、10日の3日間しか営業していない。「しばらくは臨時休業が多くなるので、出かける前に電話で確認して」と話している。
趣味なので「採算は度外視」
採算は取れないが、「趣味でやるのだから、採算は度外視。温泉付きの別荘だと思っている。街灯がないから夜は真っ暗で、これからはホタルがすごく出てきれい」と話す。
源泉は周期的に「暴れる」
直径10mほどの池の底4mから自噴する源泉は、間欠泉のように周期的に“暴れる”。この日の水面は静かだったが、5月26日に訪れたときは、泥と天然ガスとともに源泉がゴボゴボと湧き出している模様がみられた。
源泉は一度タンクに汲み上げてガス抜きをし、天然ガス濃度を基準値以下にしてから過熱している。色は薄緑色だが、その日によって微妙に変化するという。泉質は塩分を含む「ナトリウム‐塩化物泉」で、皮膚病、切り傷、神経痛、筋肉痛などに効能がある。浴槽は2つあるが、普段は1つしか湯を張らないため、交代で入浴する。
今年から食事の提供をやめたため、飲食物の持ち込みは自由。「森に囲まれているので風は涼しい。1日ゆっくりしていってほしい」と話している。
所在地 | 上越市柿崎区栃窪819 |
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営業期間 | 5月中旬〜10月末 |
入浴料 | 大人500円、子供300円 |
営業時間 | 11:30〜15:00(土曜) 11:00〜17:00(日曜) |
電話 | 025-536-3339(自宅:0255-72-0382) |