新潟県上越市で開催中の「第99回高田城址公園観桜会」(〜4月14日)に2024年、“名物”の「お化け屋敷」が復活した。感染対策として上越地域や県内業者に限定していた露店が今年はコロナ禍前と同様に全国に広げられ、兵庫県丹波篠山市の「三好興行」によるお化け屋敷も可能になった。5年ぶりに花見会場に恐怖と笑いを届けている。
独特の呼び込みなどかつての光景戻る
「度胸試し、肝試し、ほら出た、ほら出た。ワーワー、キャーキャー、おもしろかった、楽しかったの大評判、数分間のお遊びです。さあ、いらっしゃい〜」。
独特の呼び込みの奥からは、「キャー」という悲鳴や「ドンドンドンドン」という太鼓の音、「バタンバタン」と扉を何度も開閉するような大きな音が聞こえてくる。入り口には、血だらけで目玉が飛び出た落ち武者のような頭が妖怪のろくろ首のようにクルクルと回り、カップルや女子中高生のグループがにぎやかに暗闇の中に入っていく。小さな子どもたちは近寄れず、遠くからじっと見つめる。そんな高田の観桜会のかつての光景が戻ってきた。
観桜会には約30年前から出店
入り口の高座に座り、マイクを握って呼び込みを行うのは、代表の細見孝志さん(73)。三好興行は60年以上にわたり、全国各地の祭りやイベントを年間30か所以上巡り、お化け屋敷を営業している。観桜会には約30年前から出店。毎年さくらロード前の駐車場に設営しているが、最初は現在、小林古径記念美術館となっている内堀に面した場所だった。
5年ぶりとなった今年は、孝志さんと妻のしなえさん(73)に次男夫婦、従業員2人の計6人で営業。このうち骸骨の仮面をかぶるなどして、客を驚かすお化け役は3人だ。
「怖くて楽しい」お化け屋敷
同社はもともと、「木下大サーカス」の団員だったしなえさんの両親が戦後に設立したサーカス団「三好サーカス」だった。その後、家庭へのテレビの普及などもあり、1960年代からお化け屋敷となった。同社のお化け屋敷は恐怖だけではなく、どこかほのぼのとした“怖くて楽しい”雰囲気が花見客を引き寄せる。
4月2日、お化け屋敷から出てきた女子中学生は「叫びすぎて喉が痛くなった。コロナでずっとなかったから、小さい時に入った記憶が戻ってきた」と笑顔で話した。
コロナ禍で全国のイベントや祭りが中止になり興行が全くできなかった年もあり、借り入れなどでしのぐ日々が続いたという。
孝志さんは「こんな風に営業できるようになったのは去年から。高田は風情が変わらず、春を待ちわびていた子ども達の生き生きとした様子がいい。春が来たので花見でお化け屋敷をぜひ楽しんでいってほしい」と話した。
お化け屋敷の料金は高校生以上600円、小中学生500円、幼児(2歳以上)400円。