有料老人ホーム開業は2025年9月 上越市三和区の元「ホテル米本陣」

休館した新潟県上越市三和区宮崎新田の温泉宿泊施設「三和ネイチャーリングホテル米本陣」を民間事業者が有料老人ホームに転用する計画で、施設を運営する「AGRI CARE(アグリケア)」(本社茨城県つくばみらい市)は2023年11月9日、開業は2025年9月となることを明らかにした。建設資材の高騰や新型コロナウイルスの影響で計画の一部見直しなどを行ったため当初計画より約2年遅れる。同日市が開いた住民説明会で同社が報告した。

有料老人ホームに転用される旧「三和ネイチャーリングホテル米本陣」

同ホテルは運営していた市の第3セクター、三和振興(2021年会社清算)が経営悪化で指定管理を辞退し、2021年4月から休館した。市は利活用策の公募型プロポーザルで選定した、有料老人ホームや訪問介護事業などを手がけるアグリケアに2022年9月に土地と建物を売却した。

同社の計画は、ホテルを有料老人ホームに転用し、入居者以外の住民などが利用できる日帰り温泉やカフェを併設。合わせて2020年に市から土地と建物を購入した付近の博物館「米と酒の謎蔵」と食の体験施設「味の謎蔵」の2施設を有床診療所(入院施設)とリバビリセンターとして整備する。他県にある同社の各事業所のカルテの代行入力やコールセンター業務などをオンラインで行うバックオフィス機能も備え、介護や医療職以外の雇用創出も目指す。当初計画では今年4月から改築工事を行い、今月開業予定だった。

9日に三和コミュニテイプラザで開かれた住民説明会

説明会には、市の担当者とアグリケアの伊藤俊一郎会長、日馬祐貴社長が出席。住民約30人が参加した。

計画の遅れについて伊藤会長は、先行していた旧謎蔵の整備計画が採算面やコロナ禍の影響で進まなかったことや、ホテル購入後も建設資材の高騰などで採算面の見直しを迫られたことなどを説明し理解を求めた。事業内容の変更はなく、有床診療所のベッド数を16床から19床に、有料老人ホームを26室から33室にそれぞれ増やすことで採算面の問題をクリアしたという。新たなスケジュールでは、来年6月に有料老人ホーム、有床診療所共に改築工事に着手し、2025年6月に完成、同年9月に両施設を開業させる。

参加者からは「説明の時期が遅い」という意見があった。伊藤会長は「計画の遅れが分かった時点で地域住民の皆様とコミュニケーションをしっかり取って報告すべきだったと反省している。計画が頓挫している訳ではないので、再び遅れることがないよう全力を尽くしていく」と述べた。