上越市のホテル「米本陣」運営会社が指定管理辞退 コロナ禍で経営悪化

新潟県上越市三和区宮崎新田のホテル「三和ネイチャーリングホテル米本陣」を運営する三和振興は、経営悪化を理由に市に対して指定管理の辞退を申し入れた。市は施設の指定管理を2021年3月末で取り消し、4月以降の施設の運営について検討を進める。

運営会社の市指定管理が取り消しとなる「三和ネイチャーリングホテル米本陣」
米本陣

同社は、同市出資の第3セクター、Jホールディングス傘下。客足の減少などで経営が悪化し、2020年3月末時点で1047万円の債務超過となるなど、直近3年間は債務超過の状態が続いていた。本年度は新型コロナウイルスの影響で売り上げが激減し、これまでに市との協定に基づき約1500万円の減収補填も受けたが、将来的に経営改善が見込めないと判断した。2月25日の臨時株主総会で、指定管理の辞退を決めた。

同社によると、市が2020年度に行った3セクの経営健全化に向けた検討で「将来的に民間譲渡が望ましい」とされていたという。竹内仁社長は「少しでも財務状況を改善し民間譲渡したかったが、コロナ禍で赤字が膨らんだ。傷口がこれ以上大きくなる前に手を引くべきと判断した」と話した。

同ホテルは新型コロナの影響で、1月以降は週末のみ営業していた。3月から通常営業を再開したが、三和振興による営業は宿泊と宴会は28日、日帰り入浴は31日で終了する。

同ホテルは旧三和村の観光の核となる施設として、1994年10月にオープンした。付近には博物館「米と酒の謎蔵」、食の体験施設「味の謎蔵」などもあったが両施設は2015年11月に休止し、昨年、茨城県つくばみらい市の医療法人「AGRIE(アグリー)」に有償譲渡されている。

同市の3セクでは、Jホールディングス傘下でスキー場や温泉などからなる安塚区の「ゆきだるま高原」を運営していたキューピットバレイが昨年3月に業績悪化で解散し、7月からスマイルリゾート(本社、湯沢町)が新たな運営会社(指定管理者)となった。また市が出資するエフエム上越は経営難で4月から、上越ケーブルビジョン(JCV)に無償譲渡される。

▽三和ネイチャーリングホテル米本陣 http://www.mypara.co.jp/

三和ネイチャーリングホテル米本陣