上越市取得断念の国宝「山鳥毛」は瀬戸内市へ 購入費5億円の寄付集まる

新潟県上越市が取得を断念した上杉謙信の愛刀で国宝の「太刀無銘一文字(号 山鳥毛)」を購入するため、約5億円の寄付を募っていた岡山県瀬戸内市は2020年1月27日、寄付金が目標額に達したと発表した。同市によると、市議会の議決を経て、年度内に山鳥毛を購入できる見込み。

「太刀無銘一文字(号 山鳥毛)」 太刀 無銘一文字(号 山鳥毛)刀身全体 

山鳥毛の刃紋 太刀 無銘一文字(号 山鳥毛)刃紋 

山鳥毛は備前刀の最高峰とも言われ、現在は岡山県在住の個人が所有し、岡山県立博物館に寄託されている。謙信の故郷である上越市は購入を目指し所有者と交渉したが、契約金額が折り合わず2017年に断念した。

その後、山鳥毛を作った備前刀の刀工集団、福岡一文字派が拠点としていた瀬戸内市が所有者からの打診を受け、購入方針を表明。2018年11月1日から購入費と山鳥毛を展示する備前長船刀剣博物館の改修費を合わせた5億1309万円を目標に、クラウドファンディングなどを活用し寄付を募っていた。

寄付の目標達成を伝える「山鳥毛里帰りプロジェクト」のサイト 山鳥毛達成表紙

瀬戸内市によると、1月26日までに集まった寄付は8億239万円。ふるさと納税の返礼品などの必要経費を除いても、刀の購入費と博物館改修費に5億6838万円をあてることができ、目標額を達成した。今後、所有者と仮契約を締結し、2月の市議会定例会で購入契約の議案を可決後、年度内に山鳥毛を購入する予定。

瀬戸内市の武久顕也市長は「数多くの方にご賛同、ご支援いただき、心より感謝いたします。今後は国宝『山鳥毛』を旗印に、日本刀に関する伝統文化の継承と日本刀の聖地備前長船の国内外の情報発信、さらには地方創生に繋げるように努めてまいりたい」とのコメントを発表した。同市は、寄付金額に応じて期間限定で山鳥毛の共同オーナーになれる制度なども導入しており、引き続き3月末まで寄付を受け付けるという。

武久市長はクラウドファンディングをスタートする際の記者会見で、山鳥毛が購入できた場合、将来の上越市での展示の可能性について示唆している。

▼瀬戸内市の山鳥毛里帰りプロジェクトのページ https://setouchi-cf.jp/

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