【追記】上越市教育委員会は2024年7月16日、ひな4羽全ての巣立ちを確認したと発表した。
新潟県上越市吉川区で誕生した国の特別天然記念物コウノトリのひな4羽のうちの2羽が2024年7月13日、巣立ったことが確認された。同日、上越市が発表した。1971年に野生コウノトリが絶滅して以降、コウノトリの巣立ちは県内で初めて。
ひなの巣立ちは巣から30分以上離れ、田んぼや樹木などに着地することで、同市によると、午前8時前に1羽が巣を飛び立ち、近くの田んぼに降りて餌を取る姿が確認され、同8時半頃に巣に戻った。同8時半過ぎにも、別の1羽が巣を離れ1時間以上戻らなかった。
6月17日の足環(あしわ)装着時に採取した血液の検査結果から、最初に巣立ったのは雌、2番目に巣立ったのは雄。残りの2羽も雄と雌と判明している。
毎日コウノトリの観察を続けてきた同区在住の市議会議員、橋爪法一さん(74)によると、ひなは6月末から巣の上でジャンプを始め、一昨日7月11日には最初に巣立ったひなが、羽をばたつかせて滞空時間の長い大ジャンプをするのを目撃した。昨日も巣を離れて飛ぶ姿を動画におさめたが、巣立ちの要件を満たさず、お預けとなっていた。
橋爪さんは「2、3日前から巣立つのではと緊張して見ていた。無事に巣立つことができ、ひと区切りだ。最初の営巣地を変更したこともあり、ここまで関係者や地元の皆さんが静かに見守ってくれたおかげで、感謝したい」と喜んだ。残りの2羽のうち1羽も、まもなく巣立ちそうだという。
コウノトリの野生復帰に取り組む兵庫県立コウノトリの郷公園の布野隆之主任研究員(47)によると、ひなは巣立ち後も2か月ほどは巣にとどまり、親鳥と一緒に行動するが、その後は親鳥のテリトリーから離れ全国各地に飛んで行く。親鳥のつがいはそのまま巣にとどまるが、雪国では冬場は餌を求めて別の地域で春を待つ例が多いという。今年繁殖に成功したことから、翌年も上越で営巣する可能性が高いとみられている。
市では引き続き、コウノトリを観察する場合は、150m以上(自動車の中からは100m以上)離れ、静かに見守るよう呼び掛けている。
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