【動画】上越市吉川区生まれのコウノトリのひな4羽に足環 7月中旬の巣立ちに期待

新潟県上越市吉川区で誕生した国の特別天然記念物コウノトリのひなに2024年6月17日、個体識別のための足環(あしわ)が取り付けられた。ひなは4羽で、装着作業を行った兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)によると、いずれも順調に成長しており、巣立ちは7月中旬とみられている。

ひなに足環を装着するコウノトリの郷公園スタッフ

ひなの親鳥は、2020年4月9日生まれの雄と2019年4月30日生まれの雌で、いずれも豊岡市の野外にある人口巣塔で孵化(ふか)し巣立った個体。2024年5月6日に孵化が確認されたひなは、野生コウノトリが1971年に絶滅して以降、県内初のコウノトリの繁殖例となった。ひなは誕生以来、高さ約10mの電柱の先端部にある巣で親鳥が運ぶ餌を食べ、順調に育ってきた。

足環の装着は、コウノトリの郷公園のスタッフ5人を含め、東北電力ネットワークの作業員や市職員など約20人で実施。親鳥が餌を与えて30分以上経過してから、高所作業車2台に4人が乗り込み、直径2m、高さ50cmの円形の巣に近づいた。そして、転落防止のためにひなの上から網をかぶせた後、専用の布でくるんで1羽ずつ箱に入れ、地上に降ろした。

布にくるまれて巣から出されるひな

公園スタッフが巣の付近に設置された作業テントにひなを運び、アルファベットと数字を組み合わせた個体番号が書かれたアルミ合金製の黒い足環を両足に取り付けた。体重や体長、足の太さ、脈拍、体温を測り、性別や健康状態を確認するために血液や羽毛も採取した。4羽のひなは孵化の確認から42日目で、体重が3.6〜4.6kg、体長は81.5〜87.1cmでニワトリよりも大きくなり、平均的な大きさだという。

ひなの両足にアルミ合金製の足環を付けた

孵化から40日余りで大きく成長したひな

頭に布をかぶせられたひなはほとんど動くことなく、作業はスムーズに進み、1時間余りで終了した。作業の後半には親鳥が付近を旋回したり、少し離れた電柱に止まったりする様子も見られ、ひなを巣に戻してから14分後に親鳥の1羽が巣に戻った。

巣に戻されたひな(上越市教育委員会提供)

同公園の𠮷沢拓洋主任飼育員(47)は「4羽が順調に育っていて、餌を採る環境がすごくいいんだと思う。1ペアが繁殖するとその子どもたちも戻ってくる可能性もあり、吉川から新潟に広がっていくきっかけになると期待している」と話した。

黒い足環を装着したひなと親鳥

ひなは巣立ちに向けて、これから羽が伸び、巣の上でジャンプしたり、羽ばたく練習をしたりする。巣立ってからも1、2か月は巣にとどまり、親鳥と一緒に過ごすという。

国内のコウノトリは2005年に野生復帰に向けた放鳥が始まり、2024年4月末現在、全国には362羽の野外コウノトリが確認されている。今シーズンは14府県でひなが誕生している。

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