新潟県上越市三和区末野新田にクラフトビール醸造所「OTAMA BREWING(オタマブルーイング)」が開設され、2023年夏から自家醸造が始まっている。新潟市で開かれたビールの大型イベントで販売したほか、上越市内の飲食店での提供、酒店などで瓶ビールの販売も始まった。
クラフトビールの取り扱いは同区で“地域の酒屋さん”として長い間住民らから親しまれてきた「有限会社大宮商店」の新事業としてスタート。宮川岳さん(46)が代表とビールの醸造責任者を務める。
直江津出身の宮川さんはこれまで、フリーランスでIT関係の仕事に就いていた。コロナ禍の在宅ワークをきっかけに、「東京中心で仕事をする必要性がなくなった」と生まれ故郷にUターンを決めた。上越での仕事の拠点となる物件探し中、近年はほぼ休眠状態となっていた同社と出会うと、縁あって事業承継した。もともと「クラフトビールの大ファン」(宮川さん)で、これまで国内外で様々なおいしさに触れてきたことなどもあり、醸造にも興味を持った。店内を醸造所に改装し、岐阜県などでの修行を経て今年7月から醸造をスタートさせた。
初めて仕込んだビールが8月に完成し、「感動した」と宮川さん。「もう少し苦味があっても良かった気がした」というが、想定よりもスッキリとした飲みやすい口当たりは味わった人たちから好評だったという。
瓶ビールは定番の3種。商品名に上越地方の言葉「やわやわ」を取り入れ、華やかなホップの香りが飲みやすい「YAWAYAWA Pale Ale」をはじめ、フルーティーなホップのアロマとしっかりした苦味のバランスが特徴の「MAGIC TIME IPA」、10月から販売開始で、同区にある丸山酒造の「雪中梅」の酒かすを麦汁にしみこませた「UME NO HANA Hazy IPA」がある。商品ラベルはピクセルアートを採用、見た目も存分に楽しめる。
9月22日、同市春日新田1の「まいどや」に瓶ビール2種が納品された。杉田佑馬専務は「待ち望んでいた。上越のクラフトビールを楽しみにしている人がたくさんいる。クラフトビールで上越を盛り上げてもらいたい」と期待を込めた。
宮川さんは「クラフトビールは作り手と飲み手が近い関係で交流し、一つの楽しいコミュニティを作り上げている。自分の好きな味を見つけてほしい。クラフトビールが上越を知ってもらうコンテンツの一つになっていけば」と語った。
瓶ビールはいずれも330mlでいずれもオープン価格。販売場所はまいどや、十二屋(妙高市関山)、さくら百嘉店(上越妙高駅内)など。10月21、22の両日に高田本町商店街で開催される「越後・謙信SAKEまつり2023」にも出店予定。問い合わせは025-532-2608。