上越市の消防団の報酬が団員個人の口座に振り込まれず、各分団単位でまとめて支払われている現状について2016年6月13日の上越市議会総務常任委員協議会で、複数の議員から直接個人口座に支払うべきとする指摘が相次いだ。「入団してから一度も団員報酬を受け取ったことがない」という匿名の投書をきっかけに同市のオンブズパーソンが調べ、市に改善を求めたが、市は対応を見送っていた。
「一度も受け取ったことがない」と市に投書
昨年4月、市に現役団員を名乗る市民から、入団してから一度も団員報酬を受け取ったことがないとして、報酬を個人口座への振り込みに変えてほしいとする投書があった。これをきっかけにオンブズパーソンが調査し結果を報告書にまとめ公表した。
女性は直接個人口座に。性別・階級で異なる対応
報告書によると、同市には約4,500人の消防団員がいて、一般の団員の報酬は年額2万1,900円。個々の団員は市に委任状を提出し、上司である分団長の口座に振り込まれるようにしているという。一方で、本部団長以上の幹部や女性消防団員は、個人の口座に報酬が直接振り込まれていることから、オンブズパーソンは報告書で「階級や性別により異なる取扱いをすることに合理的理由があるとは、考えられない」と現在の支払い方法に疑問を呈している。また、県内20市中5市では報酬は直接団員に支払われているという。
オンブズパーソンの要請に市は応じず
オンブズパーソンは直接支給などを条例に定めるよう求めたが、市は、現状のやり方が法令に抵触していないことや投書が事実と確認できないなどとして要請に応じていない。
「反省会」用に分団でプール?
この日の協議会では橋爪法一議員や近藤彰治議員らが、直接支払いに改めるべきと質問した。塚田弘幸防災危機管理部長は「本来団員個人の口座に支払うのが基本だが、市は団員からの申し出に従って分団名義の口座に支払っている」と説明。また夜警の後の「反省会」などに使うために団で報酬をプールしている実態なども紹介して、「報酬をもらっていないのというのは、プールしているお金を使うという恩恵も受けていないのか、それとも本当にもらっていないのかという実態もまだ分からない」と答弁した。
ローカルルール(?)の徹底と実態調査
その上で塚田部長は「地元のローカルのルールをしっかり団員に説明して理解を得るところからやるように団長を通じて指示を出してもらっている」と現時点での対応を説明した。野口和広副市長は今後の対応として「実態調査をし、どのようなかたちがいいか検討していきたい」と述べた。