笹ケ峰ダムは空っぽ、野尻湖も水位低下で悲鳴

今夏の高温少雨で、上越市、妙高市の水田7118ahの灌漑用水となっている妙高市の笹ケ峰ダムはすでに空っぽ、長野県信濃町の野尻湖はボートが出せないほど水位が低下し、業者は悲鳴をあげている。

↓貯水率が10%となった笹ケ峰ダム(ここをクリックするとパノラマ写真になります)
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 2010年9月3日現在の貯水状況は、笹ケ峰ダムは有効貯水量920万トンのうち残りが91万トンで、貯水率は10%となっている。これまで1日あたり18万トン放流してきたが、水位低下のため、灌漑用水としての許可期限の9月10日までもたず、6日までが限度だという。

ダム管理事務所によると、現在は一番下のゲートから放流している状況で、ダム湖底の堆積土が流され濁水となって出ているという。今年は特に7月の降水量が少なかったことが影響している話す。

ボートが桟橋につけられない状態の野尻湖
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 野尻湖は、300年以上前に高田藩の家老・小栗美作(おぐり・みまさか)が総指揮をとって引いた当時の一大土木工事である延長26kmの中江用水の源であり、上越地方の稲作は現在もその大きな恩恵を受けている。水利権がある6月1日から9月10日までは、1日当たり27万トンの放流が可能である。

水位が低下して護岸がむきだしになっている
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 野尻湖の有効貯水量は977万トンで、現在の貯水率は35%。残りは348万トンあるが、水位の低下で護岸がむき出しになっている。既に釣り船やレンタルボートが桟橋に付けられない状況で、8月10日ごろからほとんどの業者が開店休業状態。湖畔の飲食店は「今年のお盆の営業は、最悪だった」とため息をついていた。

水量が少なくなっているため水温が上昇し、魚が浮く被害も出ている。

湖畔での釣り船やレストランの経営者は、「稲刈りを控え、もう用水は必要ないはず。一日も早く落水をやめてほしい。平成6年の渇水時は協議会を開いて緊急特例として水を落としたが、今回は事前協議もなく一方的だ。これほど水位が低下すると、よほど大雨が降らない限り12月になっても水位は回復しないだろう。ワカサギ漁ができなかったら、誰が責任を取るのか」と憤っていた。