上越市営の温浴施設「上越リゾートセンターくるみ家族園」(同市東中島)で前日に入浴した男性(80)が浴槽で死亡しているのを翌朝になるまで見つけることができなかった事故について、上越市は2011年5月18日、市議会厚生委員協議会で報告した。議員からは市がこの事故を公表しなかったことや、ずさんな施設管理の責任を問う厳しい意見が相次いだ。
冒頭、柳沢周治委員長が、男性が死亡してから3週間以上経過して報道により明らかになるまで議会に報告がなかったことなどについて遺憾の意を表明。ほとんどの議員が公表しなかったことと議会に報告しなかった市の対応を問題視した。
野澤朗健康福祉部長は「事件性がなく、自然死だったので議会への報告と公表をしなかった。発見が遅れたことは大変申し訳なく思っている」とこれまでの見解を繰り返した。今後の公表に関する方針を問われても「これまで同様に個別の案件ごとに判断し適切に行う」と答えた。
議員からは「公の施設でこのような事故が起きていながら公表しなくていいと思う感覚は、市民から大きくかけ離れている」「市長も副市長も他の部長も知っていておかしいと感じないとしたら、市の行政全体がそういう感覚になっていると認識するしかない」などの意見が相次いだ。
また指定管理者の新潟ビルサービスについては「改善策を取ったからといってこの指定管理者にまかせて今後も安全と言えるのか」「ただちに契約を解除すべきではないか」「人が亡くなっているのに気づかないというのは指定管理者としての適正さ、資質を欠いていることは明らか」という指摘が相次いだ。また、新潟ビルサービスはこのほかにもオールシーズンプール(同市新光町1)と市民いこいの家(同市石橋1)の指定管理者でもあることから、議員からは「こんなずさんな管理ではオールシーズンプールや市民いこいの家も危ないというのが市民感情だ」という厳しい意見も出た。
委員会では今後もこの問題について継続して調査を続ける方向性を確認した。
市内に住む男性(80)が4月2日に同施設を利用し、翌3日午前7時前、浴槽に浮かんで死亡している状態で発見された。死因は心臓発作だった。市の説明によると、4月2日午後8時50分に最後の客が帰った後、職員1人が浴室の清掃と残留者の確認を行ったが、異変には気付かなかったという。
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