市営施設の浴槽に男性遺体 上越市公表せず

上越市営の温浴施設「上越リゾートセンターくるみ家族園」(同市東中島)で前日の入浴客が翌朝遺体で見つかる事故が起きていたことが2011年4月26日、分かった。遺体が見つかったのは4月3日朝だが、事故の事実を市は公表していない。また施設は利用者に説明しないまま通常通り営業を続けている。

くるみ家族園
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市などによると、遺体で見つかったのは同市夷浜の男性(80)。男性はこの入浴施設の常連客で、2日「くるみ家族園に行く」と家を出たまま、翌朝になっても帰ってこないことから家族が警察や消防に通報。3日午前7時前に水深50cmほどの浴槽の中央部に浮いている姿で発見された。死因は心臓発作だったとみられる。

男性が発見された浴槽
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同施設は市営の施設だが、指定管理者として新潟ビルサービスが運営を任されている。入浴施設の営業時間は午後9時までで、同社によると、2日午後9時半ごろから、2人の職員が浴室の清掃と残留者の確認を行ったが、異変には気付かなかったという。自動の券売機で券を買って入浴する仕組みで、市によると、この男性が入浴した時間などについて施設では把握していないという。

事故を受けた再発防止策として、施設に入る際、脱いだ靴を入れたロッカーの鍵を受付で預かる方法に変更した。

市では「1989年の開館以来、こういった事故はなかった。今回は本当に残念な事故で、発見が遅れて申し訳ない。再発防止策を徹底したい」と話している。

同施設では、遺体が見つかった3日と翌4日を臨時休館としたがその後、利用者や市民に説明しないまま通常通り営業している。事故の事実を市民や利用者に公表しないことについて市は「積極的に公表すべきことだと考えなかった」としている。

温浴施設は、隣接する市のごみ焼却施設、クリーンセンターの余熱を利用している。風呂は人気があり、常連客も多い。また最近では東日本大震災と東京電力福島第1発電所の事故で、上越市内に避難してきた被災者の入浴場所として活用されている。