上越市の主婦が脱原発の映画上映会を企画

原発問題に注目が集まる中、原発に代わる自然エネルギーをテーマにした鎌仲ひとみ監督の映画「ミツバチの羽音と地球の回転」(2010年)が2011年6月11日、上越市本町6の高田世界館で上映される。上映に向けて「上越『ミツバチ』上映会」を立ち上げたのは市内在住の橋本桂子さん(38)。「もともと原発問題に関心があったわけじゃない」という普通の主婦が、たまたまこの映画のことを知り、自主上映をすることになった。多くの人から協力を得ながら、「ぜひ上越の人に見てもらいたい」と、手作りチラシを配り準備を進めている。

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映画は「六ヶ所村ラプソディー」(2006年)で知られる鎌仲ひとみ監督の3作目の長編ドキュメンタリー。カメラは豊かで美しい瀬戸内海で漁業や農業を営みながら1982年から一貫して上関原発建設に反対してきた、山口県祝島の島民の目線で追う。一方で取材はスウェーデンへ飛び、バイオマス発電など、地域自立型のエネルギー開発に取り組む人々を追う。彼らは脱原発には電力の完全自由化が大事だと訴える。

「ミツバチの羽音と地球の回転」の手作りちらし
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 橋本さんは、中国電力が上関原発建設に向けて海面埋め立て工事を本格的に始め、祝島の住民らが強く反発しもみ合いとなったことを今年2月、友人からメールをもらって初めて知った。原子炉本体の着工許可は審査中なのに、埋め立て工事が強行されたことについて、「なぜ妥当な手順を踏めないのか」と疑問に思った。

周囲にこのことを話すと、「ミツバチの羽音と地球の回転」を見た友人がいて、「あの映画でやっていたことじゃないの」。映画を見たいと思い、調べてみると、2010年に柏崎市と新潟市で上映会が行われたが、今年は県内での上映がないことを知った(その後、新潟市で7月、魚沼市で8月に上映が決まった)。

昨年上映した新潟市の映画館「シネウインド」に電話すると、「自主上映会をやってみないか」と勧められた。「自分が上映会をやれば、遠くまで見に行けない上越の人も見られる」と一念発起したという。

現在は、配給元の「グループ現代」のアドバイスを受け、同じ鎌仲監督のドキュメンタリー「六ヶ所村ラプソディー」を2007年に上越市内で上映した人などの協力も得ながら、手作りのチケットやちらしを持って動き回っている。これまでに80か所を回ったという。

橋本さんは「脱原発には自然エネルギーへのシフトが必要だが、エネルギーさえ足りていればいいというわけではない。今は脱原発のチャンスでもあるが、節電で月明かりを感じ、エアコンからうちわに替えるなど、人間としての感覚をよみがえらせること…そんな人間としての過ごし方、人と自然のつながりを取り戻すことが大事だと思う。エネルギーを浪費する社会ではなく、別の質の社会を持続していくことが重要ではないか」と話す。

上映会場の高田世界館でポスターを張る橋本さん
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 上映会は2011年6月11日、上越市本町6の高田世界館で行われる。上映時間は正午、午後3時、午後6時30分の3回。2回目と3回目の上映の間の午後5時30分から、鎌仲監督が来場しトーク(無料)が行われる。料金は前売り、当日とも1000円。駐車場は本町などの有料駐車場を利用する。

チケットの取り扱いは、ソフィー、雁木亭、たびのそら屋、kukka、スタジオzero、市民プラザ2Fリユースコーナー、春陽館、トダラバパン、冬の日、プー横丁、宮崎農機具店、ラ・ソネ菓寮。問い合わせは橋本さん、090-1399-4450。