全国で120頭の希少な猟犬「梓山犬」 上越市の久保埜さん宅にやってきた!

新潟県上越市新光町1の久保埜政義さん(75)宅にこのほど、和犬の猟犬「梓山犬(あずさやまいぬ)」がやってきた。全国で飼われている梓山犬は120頭に満たないほど希少で、NPO法人「梓山犬血統保存会」によると上越市内で飼っているのは久保埜さん宅のみ。

久保埜さん宅で飼われている梓山犬の雄「純」
梓山犬3

梓山犬の血統保存、有害鳥獣対策犬育成活動に取り組む同NPOによると、梓山犬はかつての長野県南佐久郡梓山村が原産。いわゆるペットではなく、猟をはじめ有害鳥獣対策や人間の介助、クマなど大型獣から人間を守る「使役犬」として国内で飼われている。同NPOはブリーダーとは違い、迎え入れる飼い主の住環境をはじめ、犬の運動量を確保できるか、飼い主に万が一の事態が起きた場合、犬の世話をする代わりの人がいるかなどを確認する。飼うには同NPOの審査や条件をクリアする必要がある。

久保埜さんは今から約2年前、自身が通うスポーツジムでランニングマシンを使用中、県内で飼われている梓山犬の映像を偶然目にした。猟犬と知り、自身が渓流釣りや山菜採りに出かける際の“パートナー"として興味を持った。知人から同NPOを紹介され、分譲を申し出たという。久保埜さんは梓山犬について「凛々しくてとにかく格好が良かった。釣りや山は普段1人で出掛けるので、クマよけにもなると思った」と話す。

同NPOの高橋はるみ専務理事によると、近年は新型コロナウイルスの影響で、県外移動がままならず、犬の交配も難しくなり、梓山犬の出生数も増えなかった。久保埜さんは約2年間待機し、岐阜県で生まれた雄が今年1月16日、久保埜さんの元にやってきた。「純」と名付けられた。

久保埜さんと純
梓山犬

純がやってきて久保埜さんの生活は一変。一日4度の散歩、しつけなどでこれまで以上に多忙な日々を送ることになった。久保埜さんは「純はとにかく人懐こくてかわいい」と目を細める。今は積もった雪の上を走ったり、車など周囲の音に敏感に反応したり、愛嬌(あいきょう)ある表情で周囲を笑顔にする純に「とにかく力が強い。自分の体力を付けていくことも欠かせない」と久保埜さん。「釣りや山菜採りへ連れて行くことが今から楽しみ。クマよけにもなる。一緒にいるととても心強い」と純をなでた。

純を通して同NPOをはじめ、新たな人々とのつながりも生まれ、梓山犬の先輩飼い主らと交流を深められることにも喜ぶ。「たくましく育つよう、しっかりとしつけたい」と話している。