上越市中ノ俣の写真集完成 燕市出身の佐藤さんが6年通って撮影

新潟県上越市西部の中山間地域、中ノ俣集落の人々と暮らしを題材にした写真集「じいさとばあさと田んぼの神様」(三五館)が出版される運びになった。燕市出身で東京都調布市在住のフリーカメラマン、佐藤秀明さん(71)が、6年間にわたり同集落に通って撮影したドキュメントで、2015年5月中旬に書店に並ぶ。

春祭りの撮影に訪れ談笑する佐藤さん(左)
中ノ俣佐藤さん1

写真集の全国発売を前に佐藤さんは2015年5月3日、集落内にある気比神社の春祭りの撮影に訪れ、モデルになった住民らに初版本を披露した。佐藤さんはこれまで約30冊の写真集を出版しているが、「写真に写っている地元の人に喜んでもらえるのが格別にうれしい」と話す。

8年前に初めて訪れて以降、多い時は週末ごとに訪問し、集落に泊まり込んで撮影した。「(写真家の)濱谷浩さんが撮影した桑取谷は人の出入りがあるが、中ノ俣の人は動かない。初めて集落外へ嫁に出た人が最近まで健在だったことでも分かる。その分、人の関係が濃密。酒をくみ交わし、人間関係に巻き込まれていくうちに、夢中になった」という。

写真集「じいさとばあさの 田んぼの神様」

写真集には「一番好き」という春祭りをはじめ、農作業、炭焼き、わら仕事、雪と闘う人々など、カラー写真18点、モノクロ145点が掲載されている。祭りでの無邪気な笑顔、車座になって酒をくみ交わす男衆、自然の中での農作業……失われてしまった昔の日本の姿がよみがえる。中ノ俣牧場、だんごまきなど、撮影の間に消えてしまったものもあり、貴重な記録にもなっている。

写真集はB5変形判96ページで、1945円。問い合わせは、発行所の三五館03-3226-0035。

↓佐藤さんの公式サイト
http://www12.ocn.ne.jp/~shumei/