文字通りの「堂々巡り」 みこしが社殿をぐるぐる 春日神社の春季例大祭伝統行事

新潟県上越市春日の春日神社で2024年4月22日、同神社伝統の「堂々巡り」が行われた。同じことを繰り返して進展しないことを「堂々巡り」と言うが、「祈願のために社寺のお堂の周りを何度も回る」ことに由来している。同神社でも春の例大祭の伝統行事だったが、明治期の社殿の改築によって境内が狭くなったことから近年まで途絶えていた。

春日神社の社殿の周りをみこしが回る「堂々巡り」

同神社は平安時代中期の958年(天徳2年)に奈良の春日大社の分霊を春日山山頂にまつったのが起源とされ、戦国時代に上杉謙信が春日山城を築城するにあたり、鬼門を守るため山の麓の現在の場所に移されたという。明治期に一度途絶えた伝統行事の「堂々巡り」は、2020年に社殿を新築した際に境内が以前より広くなったことから、今回実施した。

社殿に向かう急な石段を登るみこしと担ぎ手

今年はコロナ禍で中止していたみこしと山車の氏子5町内の巡行も5年ぶりに行われた。朝から、鹿や金のしゃちほこ、鶏、馬、龍をそれぞれ乗せた5台の山車とみこしが、春日、大豆、中門前、谷愛宕、春日野の氏子5町内を巡行し、夕方、地域住民が待ち構える神社境内に90段の階段を登って到着。30人ほどに担がれたみこしが、「ヤーチョイ」の掛け声とともに約100mの社殿の周りを3周した。その後は、担ぎ手が最後の力を振り絞り、砂ぼこりを上げながらかけ足で社殿の前を左右に何度も往復し、みこし巡行を締めくくった。

かけ足で社殿前を何度も往復する担ぎ手

谷愛宕青年会の川瀬広倫さん(37)は「(新社殿で)初めての堂々巡りなので、事前に何度も打ち合わせをした。無事に回れてよかった」と話し、風間常樹彦宮司(79)は「今年はゼロからのスタートだった。(新社殿での堂々巡りは)新たな形での歴史となる」と語った。

5年ぶりに山車の巡行も行われた