上越市が佐渡汽船に2億4千万円の財政支援へ あかね補助金返還は約1億8千万円

佐渡汽船の小木—直江津航路に就航していた高速カーフェリー「あかね」の売却を受け、新潟県上越市は2021年8月12日、同航路の維持に向け同社に対し2億4000万円を上限に財政支援を行う方針を明らかにした。一方、あかね購入時に同社に支出した補助金については、約1億8000万円の返還を求める。

同日開かれた市議会文教経済常任委員会で市が説明した。佐渡汽船は新型コロナウイルスの影響などで、2021年1〜3月期に16億4464万円の債務超過となるなど、経営状況は非常に厳しい。同社は乗り心地の悪さから不評で赤字だったあかねの売却に加え、人件費の削減や貨物運賃の改定など昨年から取り組む経営改善策のほか、中長期的な財務体質の改善に向け、第三者出資などによる資本増強を検討している。これらを着実に進めるための材料として、同市からの財政支援を求めていた。

佐渡汽船への2億4000万円の財政支援が説明された市議会文教経済常任委員会 佐渡汽船

市によると、補助金の2億4000万円は、コロナ禍前に計画された同航路の輸送人員5万1000人に比べ、今年4〜7月の実績を踏まえた10月までの輸送人員見込みが1万6000人で、その差の3万5000人に片道運賃を乗じて算出した。9月定例市議会に関連議案を提案する。補助金の交付は本年度のみとしており、議会の議決が得られれば10月末の今シーズンの運行終了後に実績に応じた補助金額を決定し、年内に交付する予定。

当初、市の財政支援額の決定にあたっては、佐渡汽船の新たな経営改善計画について一定程度、詳細に議会に説明するとしていたが、同社からは示されていないという。

同市の小田基史産業観光部長は「小木—直江津航路を維持するには、佐渡汽船の中長期的な経営安定のための第三者出資を受けやすい環境を作る」とした上で、「議会にご理解をいただけるよう、(情報開示について)佐渡汽船に求める努力をする」と述べた。

また、同市は売却したあかねの建造費約60億円のうち約2億5000万円の補助金を交付していたことから、20年の償却期間のうち就航していた6年を除いた14年分の補助金相当の1億7590万円の返還を佐渡汽船に求める。市によると、返還額は8月中に通知し、1か月以内に返還される予定。

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