火災相次ぐ上越市高田の建物密集地で消防訓練 住民も参加し防火意識新たに

今年に入り複数棟が燃える火災が相次ぎ発生している新潟県上越市高田地区の建物密集地で2024年11月17日、消防訓練が行われた。消防署や消防団が消火活動の連携を確認したほか、地域住民も避難訓練に参加し、防火への意識を新たにした。

儀明川に一斉放水する消防署員や消防団員

木造の住宅や商店が密集する同市本町では、2月に6棟、3月に8棟が燃える火災が相次ぎ、先月2丁目で発生した火災では、住宅や空き家など6棟が全焼し、住人の男性が亡くなった。地域を管轄する上越南消防署では、毎年建物密集地で消防訓練を行っており、今回は本町4、5の商店街と裏手を流れる儀明川を会場に実施。同署と上越地域消防局、地元の消防団から計55人のほか、本町3〜5の住民約40人も参加した。

訓練の想定は、店舗兼住宅から出火し、住人が建物内に取り残されているほか、付近への延焼の危険があるというもの。消防署と消防団から計11台の消防車両が出動し、両者の指揮者が訓練本部で共に指揮を取った。

高さ約10mの「水のカーテン」で延焼を防ぐ水幕ホースを設置

放水訓練では、水深の浅い所からも取水できる特殊な資機材などを使って儀明川から取水し、7本のホースで川に一斉放水した。燃えている建物への直線的な放水や、延焼を防ぐため屋根に水をかけるアーチ状の放水も実施。道路には延焼防止の「水のカーテン」を作るため全長約40mの水幕ホースを配備し、高さ約10mの水しぶきを噴射したほか、建物内からの住人の救助訓練なども連携して行った。地域住民は各町内の一時避難所に避難した後、消防訓練を見学し、写真や動画を撮影するなど興味深く見守っていた。

最低水深2cmから取水できる資機材を使用

本町3町内会長の男性(79)は「(2丁目の火災では)現場に行ったが、思ったより火の動きが早く、放水しても火の勢いが収まらず、連たん地域の消火は難しいと感じた。火元にならないことが大事。(今日は)住民が集まり話をするいい機会にもなった」と話した。

消防訓練を見守る参加住民

上越南消防署の保坂達也署長は「大規模火災の消火は我々だけでは困難で、地元消防団との連携が大事になる。今日は連携が取れたスムーズな活動ができた」と振り返り、参加者を前に「火災は努力で防げる災害。一人一人が強い防火意識を持って、料理時に火から目を離さない、定期的に電気配線点検を行うなど、継続して火災予防に取り組んでほしい」と呼び掛けた。