インド・ニューデリーで開催中の国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は2024年7月27日、日本が推薦していた新潟県佐渡市の「佐渡島(さど)の金山」の世界遺産登録を決めた。佐渡市への航路を持つ上越市でもパブリックビューイングが行われ、中継を見守った市民らが吉報に沸いた。
佐渡島の金山は、西三川砂金山と相川鶴子金銀山の二つので構成する。江戸時代初期から約400年にわたり大規模な金生産が行われ、西洋で機械化が進む中でも伝統的な手工業による生産システムを発展させ、17世紀には世界最大の金生産地となった。県内での世界遺産登録は初めてで、国内では自然遺産も含め26件目となる。
パブリックビューイングは、佐渡汽船の小木―直江津航路を持ち、佐渡市と姉妹・友好都市関係にある上越市からも登録を後押ししようと、上越妙高駅西口のコンテナ商業施設「フルサット」が主催した。集まった関係者や市民ら約10人が審議を中継で見守り、登録が決まると「やった」「おめでとう」と歓声を上げ、タンバリンやマラカスを鳴らして盛り上がった。
上越商工会議所青年部のバンド「ぷっつんojisan」も駆けつけ、鏡開きや酒のふるまい、佐渡について歌ったオリジナルソングを披露し登録を祝った。
フルサットを運営する北信越地域資源研究所代表で、9年ほど佐渡で暮らし観光振興などに携わった平原匡さん(47)は「関係者の方が諦めずにやってきたことが実を結んで良かった」と喜び、「(佐渡市への)西の玄関口と言われる上越市も、前泊後泊で宿泊需要など出てくると思う。佐渡ブランドからのシャワー効果がもらえるようにもっと上越妙高駅でピーアールしないといけない」と話した。
上越市は横断幕などで祝福 中川市長「両市の絆末永く」
上越市の中川幹太市長は登録を受け、「古来より佐渡市とは『金の道』で結ばれ、小木直江津航路により活発な交流と友好関係を育んできた。世界遺産登録を祝すとともに、両市の絆が次世代へと末永く続くことを願う」とのコメントを発表した。
市では直江津駅と市役所、上越妙高駅に祝意を表す横断幕や懸垂幕を掲示し、8月8日からは市内の一部路線でラッピングバスを走らせる予定。7月28日には直江津港佐渡汽船ターミナルで、カーフェリー乗船者へ祝い品の配布や見送りを行う。