医師不足を背景に機能低下が続き、2025年度中の閉院方針が示されている新潟県上越市東雲町1の新潟労災病院の再編計画など、上越地域の医療再編に関する市民説明会が2023年12月20日、同市本城町の高田城址公園オーレンプラザで開かれた。参加者からは、閉院方針への疑問や存続を求める声が多く寄せられた。
新潟労災の手術や入院などの機能を市内6病院に移行し、2025年度中に閉院する再編案が示された12月4日の上越地域医療構想調整会議以降、初めての説明会。県と上越市、妙高市が共催し、地元住民ら25人が参加した。
再編案の概要のほか、少子高齢化による医療ニーズの変化や医師不足に対応するため、病院機能の集約、役割分担を地域全体で行う必要があるという、医療再編の考え方などを県の担当者らが説明した。
新潟労災の再編について参加者からは「閉院せず、全国に手を広げて医師やスタッフを集められないのか」「直江津地区での外来から入院の流れを作っている。他の診療所で外来を回せるのか」などの疑問や存続を望む声が上がった。またスタッフ移行について「(閉院まで)時間的にも厳しい。貴重な人材を上越医療圏内で発揮できるように職員への説明をきちんと進めてほしい」という要望などもあった。
県福祉保健部の和田雅樹参事は「外来の機能、機能を移管した病院へのアクセスの問題をどうするか、まだ説明が不十分ではないかという指摘もいただいたので、今後の課題として受け止めたい。地域全体で医療と県民の健康を守っていくために行政と医療関係者、住民の皆さまと検討しながら進めていきたい」と話した。
県によると、年度内に開かれる予定の次回の調整会議では、新潟労災の再編を含む短期再編計画の経過のほか、上越医療圏の中期再編計画について議論される見通し。