総務省が発表した2022年度のふるさと納税の現況調査によると、新潟県上越市の寄付額は約1億674万円(1万円未満切り捨て、以下同じ)で、初めて1億円を超えた。中川幹太市長が制度の積極活用を公約に掲げて昨夏から返礼品を拡充し、寄付額が前年度に比べ約4倍に増えた。一方、上越市民が他の自治体にふるさと納税をしたことによる市民税の控除額(流出額)も増加し、実質収支は3万円となった。
2022年8月から返礼品拡充
ふるさと納税は、出身地やゆかりのある地域を応援する制度として2008年にスタート。好きな自治体に寄付すると、寄付額の30%を限度に特産品などの返礼品がもらえるほか、寄付額のうち2000円を超える部分について住民税などが控除される。
同市は昨年8月、年度内の寄付額5000万円を目標に、返礼品に新たに地場産品を加え、ポータルサイト6サイトに登録してふるさと納税に本格参入した。ふるさと納税を担当する総合政策課によると、今年3月末時点で、市内の120事業者が約1600点を返礼品として登録している。最も人気があるのは米で、次いで日本酒、ワインなどの洋酒と続くという。
新潟県内のふるさと納税受け入れ額ランキング(千円)*総務省公表資料を基に作成
寄付額大幅アップで初の1億円超え
総務省の調査によると、同市は昨年度、5911件1億674万円の寄付を受け入れた。前年度の70件2623万円から大幅アップし、初の1億円台を達成した。同課は「8月からのスタートだったが、目標を達成してよかった。多くの事業者に取り組んでもらい、返礼品の充実が図られたことが一定の成果につながった」と話している。
収入1億円、流出額2.5億円 交付税措置で収支は3万円
しかし、1億あまりの寄付金全てが同市の懐に入るわけではない。返礼品の購入代や送料、ポータルサイトの掲載手数料などの経費が約4448万円かかり、実際に同市が受け取れる金額は6225万円となる。
また上越市民が他の自治体にふるさと納税で寄付をしたことによる市民税の流出額は、前年度より約5000万円増加し過去最多の2億4890万円(推定値含む)に上った。受け取れる寄付額より流出額が多いと赤字となるが、流出額の75%を国が地方交付税で補てんするため、上越タウンジャーナルの試算では実質収支は3万円の黒字となった。
住民が他の自治体にふるさと納税をすることによる税金の流出は、寄付をする人が多い大都市を中心に問題となっている。同市財政課は「当市はふるさと納税の返礼品に力を入れ始めたばかりで、今後の状況を見ていく」としている。
同市は本年度、寄付の目標額に昨年度の約1.5倍に当たる1億7500万円を掲げている。