新潟県上越市の通年観光計画策定支援業務の公募型プロポーザルについて市と選定された業者が近密な関係にあった問題で、プロポーザルに応募した3社の得点が上越タウンジャーナルによる情報公開請求で分かった。選ばれた1社の得点は100点満点中80点を超えていた一方、残りの2社の得点は選定基準にも満たなかった。関係者は「市と密接な関係にあったことが何らかの形で有利に働いたと考えられ、競争性を阻害した可能性がある」と指摘している。
通年観光計画策定支援業務のプロポーザルは今年6月に行われた。選定委員会の委員は合計7人で、内訳は市職員2人と民間の有識者5人。
評点はEssaが圧勝
選定委員会は、3社の提案を業務の理解度や実現性、将来性などの9項目の観点で採点した。その結果、Essaが100点満点中80.3点を獲得し、残りの2社は51.6点と51.0点。2社の得点はいずれも今回の業者選定の最低基準60点をも下回った。また7人の選定委員のうち6人がEssaを1位とした。
選定委員急きょ入れ替え
今回のプロポーザル開始時点で選定委員会の委員は、市の担当部長、担当課長、文化財担当の職員、外部の観光関係者の4人だった。4人のうち3人は市職員で外部の観光関係者も市職員OBだった。しかしその後プロポーザルの審査が行われる6月になって、市は委員を大幅に入れ替えた。市職員2人と民間の有識者(市職員OBはいない)5人の合計7人とした。
委員入れ替えについて市は「庁内の協議で、知見のある幅広い分野の人を入れる必要があるとの話が出た。また、選定の公平さ、公正さをより明確にするためでもあった」と説明している。
「近密さ有利に働く可能性」
上越タウンジャーナルは自治体などの計画策定の経験のあるコンサルタントに、情報公開請求で開示されたプロポーザル得点表を含む一連の資料を提示し、分析と見解を求めた。
コンサルタントは「選ばれなかった2社はこれまでの実績を見ても選定基準を下回る提案をするような業者ではない」とした上で「選定は委員に外部の有識者を多く入れるなど外形的な公正さを保って行われているが、特定の業者が市の内部の会議に出席するほどの極めて近密な関係性を維持してきたことは、何らかの形でその業者に有利に働く可能性が高いと考えられる」と話した。
「わたしは審査員ではない」
中川市長は7月31日の記者会見で「私は(プロポーザルの)審査員ではない」「私がEssaを選んでくれと言ったわけではない」と語った。