古民家ならぬ “文化財カフェ” が5日にオープン 三和区の林富永邸

新潟県上越市三和区神田の市指定文化財「林富永邸」に2020年6月5日、カフェがオープンする。築137年の歴史が息づく旧家で、こけむす庭を眺めながらスイーツを味わう、贅沢な時間が楽しめる。毎週金〜日曜の週3日営業で、当面は電話予約制とする。

「庭は低い目線から見てほしい」との思いから、座布団席と座面の低い椅子席が並ぶ
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かやぶき屋根が特徴の上越市指定文化財、林富永邸
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同家は1883年(明治16年)の建築当時の姿のまま残された、かやぶき屋根とこけ庭が特徴の邸宅で、2007年に市の文化財に指定されている。

店名は「CAFE HAYASHI(カフェ ハヤシ)」。営むのは、当主の娘で料理研究家の酒井里香さん(54)。同家には昨年秋まで、当主の富永正雄さん(92)夫妻が住んでいたが、高齢のため市街地に引っ越し、入れ替わりで里香さんと夫の宏明さん(57)が、長野県から移り住んだ。同家の維持のため活用方法を考え、「これまで経験してきたことを生かしたい」(里香さん)と、カフェ開業への挑戦を決めたという。

長野県からUターンしてきた美香さんと、夫の宏明さん
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同家自慢の庭を眺められるよう、前庭に面した窓に向かって一列に座席を並べた。会話を楽しみたい人向けの個室席などもあり、全15席を用意。デザイン関係の仕事の傍らカフェを手伝うという宏明さんは、「庭を眺めながら、時が経つのを忘れて過ごしてほしい」と話す。

提供するスイーツは全て里香さんの手作りで、同区の丸山酒造場の雪中梅酒かすを使ったパウンドケーキやチーズケーキ、こうじを使ったぜんざい、上越産みそを隠し味にしたロールケーキなど、地元食材をふんだんに取り入れている。

酒かすとドライフルーツのパウンドケーキと、黒豆ほうじ茶のセット(税込み1100円)。セットには自家製の香の物も付く
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中庭を臨む個室席も
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里香さんは「非日常感のある空間で、ここならではの庭とスイーツを、上越内外の人に味わってもらいたい」と話している。

時間は午前10時から午後5時まで。文化財保護のため、靴下着用での来店を呼び掛けている。駐車台数が限られているため、当面は予約制とする。予約は025-532-2602

奥座敷から臨む枯山水庭園も室内から見学可能
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また、カフェ休業日の平日は、レンタルスペースとしての活用や料理などの体験プランの実施を計画中だという。詳細は同店ホームページで。

CAFE HAYASHI