「ライオン像の家(旧直江津銀行)」リニューアル 上越市内最古級の近代洋風建築

「ライオン像のある建物」として親しまれ、明治期に建てられた新潟県上越市内最古級の近代洋風建築である旧直江津銀行(同市中央3)の改修工事が完了し、来年4月に、イベントなどを行う貸し館施設「ライオン像のあるやかた(旧直江津銀行)」としてリニューアルオープンする。改修工事では外壁や内装をしっくい仕上げにし、白壁のかつての姿がよみがえった。

しっくい仕上げの大正期の姿に復元された旧直江津銀行
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旧直江津銀行は1895年(明治28年)に「直江津積塵せきじん 銀行」の名称で貯蓄銀行として発足し、1899年(明治32年)には普通銀行の「直江津銀行」となった。地域の中心的金融機関として発展したが、明治末期の不況で経営が行き詰まり1915年(大正4年)に解散した。

建物は明治期に中央2の現在の直江津郵便局西側に建てられたとされ、銀行解散後に海運業の高達回漕店の高橋達太氏が買い取り、1920年(大正9年)頃に現在地に移築・改装した。戦時中まで同社事務所として使用され、2009年に土地建物が所有者の高達倉庫から上越市に寄贈された。

シンボルの「ライオン像」も健在
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建物は、隣接地との境に設置された赤レンガの防火壁と正面西側の迫力あるライオン像が特徴的。ライオン像は建物を購入した高橋氏の要望で設置されたという。本館と2階建ての別館は長方形の一隅を切り落とした変則五角形で、本館の屋根には3つの小屋根がある。

市では郷土の歴史的建造物を保存活用するため、2010年度に屋外にトイレを新築。昨年度から耐震改修工事を実施していた。建物の内外装にしっくいを塗り、移築された大正期の姿に復元した。最大で高さ6mあったレンガの防火壁は直江津の大火の歴史を伝える貴重なものであることから、安全の確保が図れる2.5〜3.5mにし、倒壊防止対策を施した。

倒壊防止対策が行われたレンガの防火壁
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上越市によると、本館ホールはイベント、別館は1階はインフォメーション、2階を展示室としての利用を想定している。開館は4〜11月までの土日曜、祝日、夏休み中など。関連の条例案を市議会12月定例会に提案している。

旧直江津銀行

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