新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となる上越まつりの直江津祇園祭を締めくくる「御饌米(おせんまい)奉納」が2022年7月29日、新潟県上越市西本町4の八坂神社で行われた。熱気の中、直江津地区の若衆が米俵を担ぎ、観客らが囲む参道を勇壮に駆け抜けて祭りのフィナーレを飾った。
御饌米奉納は、直江津地区19町内の若衆たちが神社に米俵を奉納し、1年の無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する。例年各町内の屋台が集まって約3時間かけて盛大に行われるが、今回は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて16町内の参加となり、時間も短縮された。
午後7時過ぎ、「わっしょい」「よいやさー」など威勢の良い掛け声やおはやしが会場に響く中、今年のトップバッターの栄町の屋台が境内前に到着。沼波勇人総代が「この2年間は思うようにお祭りができず、皆さん寂しかったと思う。先人たちが築き上げてきたこの歴史ある直江津祇園祭を、今度は私たちが後輩に引き継ぎ、百年、千年続く祭りにしたい」とあいさつし、奉納を開始した。
屋台から降ろした米俵を若衆たちが次々と担ぐと、総代を先頭に社殿目指して参道を走り抜けた。「コロナに負けるな」「直江津大好き」など各町内独自の掛け声で会場を盛り上げ、奉納を終え屋台に戻ってくると、会場の熱気は最高潮に。観客らは拍手で出迎え、若衆たちは一本締めや万歳三唱などで祭りの成功を祝った。
奉納を見ていた同市中央1の田中露さん(72)は「本来は子供たちなどでもっとにぎわうところ、少し物足りないけれど、3年ぶりに見られて懐かしい気持ち。来年はいつも通りの祇園祭が見たい」と微笑んだ。
直江津地区連合青年会の小林健太会長(40)は「皆で盛り上がっている姿が見られて感慨深い。子供たちに活気を見てもらい、次の世代に祭りをつないでいってほしい」と願った。