2022年7月16日から開催の「第43回高田城址公園観蓮会」に先立ち3日、会場の新潟県上越市本城町の高田城址公園で、ハスの花数調査が行われた。規模、美しさが「東洋一」と称されるハスの本数を明らかにし、広くアピールしようと集まった市民による新たなプロジェクトだ。
外堀約19haを埋め尽くす同公園のハスは1871年、戊辰戦争と大凶作による財政難に苦しんでいた高田藩を救おうと、戸野目の大地主がレンコンを植えたのが始まりとされている。1953年にハス研究の世界的権威、大賀一郎博士が訪れた際に、その規模などを称賛して以来、市民が「東洋一」と語り伝えてきたもので、正確な本数は明らかになっていない。
調査を行うのは市民団体「高田城址公園の蓮の花数を調べる会」。同市仲町6の元高校教諭で非常勤講師の吉越正勝さん(75)が代表を務め、町内会や野鳥の会のメンバーなど8人が所属する。
大学進学や就職で地元を約50年離れていた吉越さんは、久しぶりに見た同公園のハスの美しさに感動。毎日のようにウォーキングに訪れ、見頃には観光客から本数について聞かれることも多々あったが、「答えられなくて悔しい思いをした」と言う。
「具体的な数が分かれば東洋一の文言にも説得力が増すのでは」と考えた吉越さんは、2019年に独自で南堀を調査し、約2万本の花を確認。より正確な数を知りたいと、コロナ禍が落ち着いてきた今年、有志を集めて会を発足した。
調査は南、西、北堀を、桜の木に付けられた番号などを目印に10区画に分けて行う。現在はまばらに咲いているため、一本ずつ数えて回っているが、均一に開花が進めば一部分のみを数えて面積から全体の数を出す。開花期間中の9月上旬まで毎週1回実施し、その合計から平均開花日数などを考慮して概算するという。
初回は会員のほか、飛び入り参加の市民も合わせた5人が集まった。1人2区画ずつ担当し、時折雨が降る中、堀周辺を歩きながらカウンターを使って一つ一つ数えていった。この日は4281本の花を確認した。
吉越さんは「花開く過程や、堀によっての咲き方の違いなど新たな発見があるので、見慣れた景色でなんとなく奇麗だと思っている人にぜひ興味を持って参加してほしい。市民が誇りを持って観光客にピーアールして、高田のハスを盛り上げていければ」と話している。
次回は10日で、8月14日を除いた9月4日までの毎週日曜日に活動する。参加は随時受け付けており、希望者は活動日の午前10時に高田城址公園オーレンプラザエントランスに集合する。問い合わせは吉越さん090-5814-5284。