2017年10月22日の投票日に向けて、衆議院の解散総選挙と任期満了に伴う上越市長選の「ダブル選挙」は、ともに最終盤を迎えている。4陣営が入り乱れ、国政選挙では敵同士だが市長選では同じ陣営にいる、といった具合に、ある種複雑な様相を呈している。今回のダブル選挙を、市民の代表である32人の上越市議会議員の動きを通して見てみよう。
衆院選、市長選ともいずれも一騎打ちで、有権者も市議たちもそれぞれの選挙で「あれかこれか」の二者択一を迫られている。
衆院選は 自公 vs. 野党共闘
まずは国政選挙。上越市を含む新潟6区は自民党前職の高鳥修一氏に、民進党系新人で無所属の梅谷守氏が挑む。自公対野党統一候補という分かりやすい構図で、市議もそのように動いている。
高鳥氏を応援しているのは、自民党、公明党を支持する市議たちだ。32人の市議のうち約6割を占めている。
一方の梅谷氏は、民進党の希望の党への事実上の合流により、無所属の野党統一候補となったため、民進党を支持してきた議員のほか、共産党、社民党系などの議員が支援している。こちらは32人の市議のうち約4割を占めている。
ほかの選挙では「市政は国政とは別」などとして、国政選挙で特定の候補を支持しないというスタンスの市議もいるが、今回は支持の強弱はあるものの全員が何らかの形で高鳥氏、梅谷氏のいずれかを応援している。
市長選は 現職 vs. 新人
そして市長選。3期目を目指す現職の村山秀幸氏(69)に新人で元市議の中川幹太氏(42)が挑む。どちらも無所属だ。
市議32人のうち約8割が村山氏を支援している。この25人ほどの支援市議団のうち、20人ほどが自民党の高鳥氏を支持しており、5人が民進党系などで梅谷氏を支援している。市長選では同じ陣営で協力しているものの、衆院選では互いに敵同士として戦うというややこしい関係になっている。
一方、中川氏の支持を公然と表明している市議は1人もいないが、水面下で支援する動きもあるという。
村山氏も中川氏も支持していない市議が残りの7人ほどいる。市長選で自主投票を決めた共産党の4市議と、子供年金などの政策提言をしながら出馬を模索してきた元市長の宮越馨氏(76)を支援する予定だった市議などだ。宮越氏は市長選告示前日の14日に不出馬を表明している。
衆院選 × 市長選!?
高鳥氏は当初から村山氏支援を明確にしている。村山氏の出陣式では「わたしは村山市長一本で応援している」と強調した。一方の梅谷氏は、市長選の両候補の総決起集会に出席している。
村山陣営には、高鳥氏、梅谷氏それぞれを支援する議員がいる。このため、村山氏は基本的には、高鳥、梅谷両氏に等距離のスタンスを取ってきたが、選挙戦終盤の10月19日には高鳥氏の個人演説会に出て共に勝利することを誓った。
一方の中川氏は、梅谷氏の出陣式でマイクを握り、梅谷氏の必勝を訴えている。
市議の分布を見ても分かるように、高鳥氏と村山氏、梅谷氏と中川氏はそれぞれに支持層が重なっているとみられる。梅谷氏を支援する市民グループの中には、衆院選は梅谷氏、市長選は中川氏に投票するよう呼び掛ける動きもみられる。村山陣営ではこうした動きが、中川氏の票の掘り起こしにつながるとみて警戒しながら、最終盤の戦いを進めている。
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