幕末から明治にかけて長野県南部の伊那谷を約30年放浪して句を残した漂泊の俳人・井上井月(いのうえ・せいげつ)の生涯を明らかにするドキュメント&フィクション映画「ほかいびと 伊那の井月」が2013年4月28日~5月2日までの5日間、新潟県上越市本町6の高田世界館で上映される。初日の4月28日には、北村皆雄監督と、井月を演じた田中泯(たなか・みん)さんによる舞台挨拶とトークショーが開かれる。
漂泊の俳人・井上井月は、文政5年(1822年)越後の長岡藩生まれとされる。30代後半のころ井月は伊那谷を訪れる。以来約30年の間、明治になって死去するまで上伊那を中心に放浪生活を送り続けた。家も家族も持たず、体中シラミだらけで、すぐに泥酔しては寝小便をたれ「乞食井月」「シラミ井月」と呼ばれた。しかし、井月は訪れる家で子が生まれれば称え、稲が実れば笑い、蚕が桑をよく食べれば寿ぎ、死者への追悼句を捧げる「ほかいびと(寿・祝人)」として、伊那人に受け入れられた。
映画は井上井月を愛する伊那人が80年をかけて集めた1800の句、逸話、日記の断片、聞き書きに基づき、井月の謎の生涯を4年の歳月をかけてドキュメントとフィクションを織り交ぜた構成で描いた。各場面で、井月の句も多く紹介されている。ナレーションは樹木希林。
主演は舞踊家で俳優の田中泯。映画『たそがれ清兵衛』(山田洋次監督)で初めて映画出演し、余吾善右衛門を見事に演じ、第48回キネマ旬報賞新人男優賞、第26回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞・新人俳優賞を受賞した。同映画でも、まるで田中泯が井月そのものであるかのような存在感をもって演じている。
上越での上映は、高田藩開府400年のプレイベントとして企画された。また、映画の中で六波羅霞松が、「なぜあなたは国を捨てたのか」と井月に詰め寄る場面があるが、霞松は同じ越後の高田出身という縁もある。
上映は4月28日を皮切りに5月2日まで。上映時間は午後1時、同4時の2回。初日の28日には、2回の上映の際に北村監督らが舞台あいさつに立つ。また、北村監督と主演の田中泯さんのトークショーが開かれる(時間未定)。
入場料は前売り1000円、当日1300円。春陽館書店、アコーレ、柿村書店、高田文化協会、喫茶プー横丁などで販売中。問い合わせは、主催の街なか映画館再生委員会の岸田代表(090-2562-4475)へ。
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