もし「鼻毛の池」へドライブに誘われたら?

「車で1時間で行けるところで、すごく紅葉がきれいな名所があるんだ。2人でドライブに行かないか」
「いいわよ。それで、どこ行くの?」
「大島区にある鼻毛の池さ」
「うわ~、なんてロマンチックな……はずないでしょ」。

そのインパクト抜群の名称があだで、カップルはおろか、女性や子供も敬遠するという紅葉の名所が新潟県上越市大島区牛ケ鼻にある「鼻毛の池(はなげのいけ)」。春はミズバショウ、夏はキャンプ、秋は紅葉と、いつ行っても美しいところなのに、観光ガイドブックにのっていない。人に出会うことすらまれなので、仕方がないのだろう。

案内看板
鼻毛の池看板

場所は同区南部の菖蒲高原近くで、十日町市松之山地区との境の鼻毛峠(標高600m)にある。牛ケ鼻集落の入り口には「鼻毛キャンプ場」の看板がある。同伴者がいれば、ここで「えっ~、鼻毛!」と驚くはずである。

細く急な山道を上って約4km。突然、左前方に美しい紅葉と真っ青な池が目に入る。思わず息を飲む美しさだ。

鼻毛の池の紅葉
panorama4

池は1周500mぐらいだろうか。水は真っ青で、引き込まれそうな感じ。この池に主が住んでいるという伝説も、信じたくなるほどだ。

しかし、美しい自然以外、何もないのである。つまり、管理施設や炊事施設、トイレ、看板類、そして電気や水道もない。夏はキャンプ場として使えるが、夜は漆黒の闇になるので星空は美しいものの、ずいぶん怖いそうだ。

「鼻毛」の由来だが、鼻毛峠は馬に鼻を蹴られるほどの急坂なので鼻蹴峠と呼ばれ、それが鼻毛峠になったとされる説がある。

鼻毛の池