「麺屋あごすけ」の新たな挑戦

上越市下門前のラーメン店「麺屋あごすけ」(月岡二幸店主)は、スープを酸化させず、短時間で仕上げる「圧力寸胴」を甲信越地方で初めて導入した。ガス使用量が大幅に減り、エキスが良く出るためごみの量が半減するほか、これまで生臭さが出て難しかった生魚を使ったスープも可能になるという。

圧力寸胴(右下)を使ってスープを作る月岡店主
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山形県の鋳物屋が製造し、平和シーリングが取り扱っている製品で、「スープ革命」と言われる画期的な製品。昨年10月に発売されたばかりだが、月岡店主は「未知の世界のスープができる」と導入に踏み切った。

圧力寸胴は、圧力鍋の原理で内部を3.2気圧まで高めることで、沸点を136度の高温にできる。このため、とんこつスープの場合、12時間かかったものが、2時間ほどで完成する。無菌状態で作るためスープが酸化せず、牛乳のような完全に乳化されたスープができるという。天候で気圧が変わることによりスープの出来が左右されることもなくなる。

「酸化したスープは、おいしくても体に良くない。圧力寸胴を使うと濃厚だが胃にもたれないスープができるが、豚臭さやくせがないので物足りない部分もある」と話す。

短時間でスープができるので、燃料費が大幅に減るほか、厨房内の50度を超す暑さも緩和される。材料からエキスが十分に出るため、ごみの量も半分になり処理費が半減するメリットもある。

月岡店主が最も期待するのは、これまで生臭さが残るためスープにできなかったアンコウやブリ、甘エビ、タイなどの生魚を使えること。どんなスープができるか、今から楽しみだという。

だが、現在のスープを全面的に切り替えるのは一朝一夕ではいかない。同じ材料を使っても、まったく別物のスープができてしまうのだ。

上越一の行列ができる人気店だけに、危険な賭けはできない。「これから勉強しながら、新メニューに取り入れ、段階的に切り替えていきたい」と話す。

今月から導入した夏季のみ1000食限定の「蝦醤つけ麺」(950円)から、圧力寸胴でとったスープを使ったメニューを導入している。