雪の中 市街地などでイノシシ4頭 目撃相次ぐ

2011年1月19日夜から翌20日にかけて上越市内の市街地や企業団地などでイノシシの目撃情報が相次いでいる。19日夜、大貫の関根学園高校前で4頭が目撃されたのを皮切りに、南本町や土橋、国道8号の国府交差点などで目撃され、車にはねられたとみられる1頭の死骸も見つかったほか、20日午前には頸城区西福島の信越化学工業直江津工場内で別の1頭が捕殺された。市環境保全課は「雪の多いこの時季にイノシシが市街地に現れたのは初めてではないか」としてる。

信越化学工業直江津工場で捕殺されたイノシシの体長を測る同社社員(2011年1月20日午前10時過ぎ)
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市環境保全課のまとめによると市民などから寄せられたイノシシの目撃情報は次の通り。

  • 19日午後10時20分 大貫の関根学園高校正門前に4頭が歩いていた。
  • 19日午後11時30分 土橋のファミリーレストラン「あっぷるぐりむ」駐車場付近に1頭
  • 20日午前0時20分 市立城北中学校北側の自衛隊官舎前に4頭いて、本町方面に歩いて行った。
  • 20日午前0時40分 4頭を警察がパトカーで追跡したところ、南本町3の市立南本町小学校前の丁字路付近で車にはねられたとみられる1頭の死骸を発見。
  • 20日午前3時 国道8号国府交差点付近に1頭
  • 20日午前7時 御殿山町の住宅街の用水に1頭。
  • 20日午前7時 頸城区上吉の工業団地で1頭が目撃され、しばらく工場の敷地内などをうろつく。
  • 20日午前8時40分 頸城区西福島の信越化学工業直江津工場に入り、工場内の側溝に落ち、午前10時過ぎ、猟友会によって捕殺。

信越化学工業直江津工場に侵入したイノシシは体長130cm。正門で受付をしていた女性は「正門からイノシシがトコトコと歩いて入ってきてびっくりした。突進してきたわけではないですが、結構な大きさで怖かった」と話していた。

雪でえさ場失い市街地へ 昔は新潟県にいなかったイノシシ

昔は新潟県にいなかったとされるイノシシがなぜこの季節に人の住む市街地に出没するのか。専門家に聞いた。

野生動物の動向に詳しい県猟友会直江津支部支部長の牛木義晴さん(70)によると、イノシシは足が短く、積雪の多い新潟県では冬を越すことができず、かつては新潟県にはいないとされていた。しかし近年の少雪により増え始め、年間を通じて市街地にも現れ、畑の作物などを荒らす被害が出ている。

「ここ4、5年は、山に食べる物がなくなると年中出てくる」と牛木さん。この日は前日から雪が降り大荒れで「一気に雪が降って山でえさ場を失い、里に出てきたのではないか」と分析している。