不思議な「中干し」のぼり旗の秘密

「“中干し"って何だ」「煮干しみたいなものかな」。

中干し実践地域をPRするのぼり旗
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上越市郊外の道路沿いに最近目立つ「中干し実践地域」というのぼり旗。赤い文字で、遠くからもよく見える。

良く読むと、「えちご上越米」「ブランド力アップ運動展開中」とあり、なにか米の品質向上などに関係するようだ。

JAえちご上越に聞いてみた。

「中干し」とは、夏場に田んぼの水を抜いて土壌を乾燥させることを言う。

水を抜くことによって過剰な分けつ(茎数が増えること)を防ぐのだという。茎の数が多くなりすぎると小さい穂ができ、米の粒が不ぞろいになる。

作業の時期は田植え後1か月前後が目安で、目標の茎数になったら行う。中干しの時期が遅れると品質が悪くなるので、えちご上越では今年、各支店単位で実践地区を設定し、適期の中干しを進めている。

中干しは、江たて(溝切り)といって、田んぼの土の表面に溝を切ることにより排水を良くする。溝を切ることでで土中の酸素が増えるほか、根の張りが良くなって稲の倒伏防止になる。また、田んぼの土を固めることで、秋にコンバインなどの機械が入りやすくなる役割もある。

高品質・良食味米生産早見スケール
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同JA管内では中干しの不徹底で、数年前から稲の倒伏で土や異物がもみに混入する例が多数あり、問題視してきた。

このため、中干しを行う適期を知ることができる「高品質・良食味米生産早見スケール」という器具を開発した。一株あたりの茎数を当てはめると、中干し実施時期が分かるすぐれもので、既にに特許庁に特許を出願した。

今年は紙製のサンプルを使用しているが、来年度はプラスチック製にして7000~1万個製造するという。